傍聴していると、人間の闇の部分を見たり感じて勝手に絶望していることも多いのだけれど、今回希望を感じられた証人がいた。
事件としては、終電を逃した面識のない女性を車で送ると言って暴行、強制性交にあったという内容。
暴行の際、気絶した時間が数分あるほど強く女性の首を締めたり脅したりなどひどい内容で憤りを感じたが、この事件で被害者を救ったのは被害者の”推し”のホストだった。
被害にあった女性は、何とか帰宅し頭の整理がつかない中”推し”のホストにメッセージを送る。
「次会ったとき、わたしを叱ってほしい」
ホストはただごとではない雰囲気を察知し、何度も聞き出そうとしたり直接会って話を聞くと誘っても、今会ったらメンタルが壊れそうと拒む女性。
最終的には、翌日店に行くことになり、涙をこらえつつも力をふりしぼりながら被害について店でホストに話す。
ホストは、これは事件だと勤務中にもかかわらず、警察へ一人で行く勇気が持てなかった女性の後押しをし、一緒に警察に被害届を出すことが出来た。
勤務中に店を抜ける際には上司に簡単に経緯を話し「ホストとしてではなく、人間として道徳にそった上で警察に行きます!」と店に中抜けの罰金6万円も店に払い警察に同行したのだ。
警察に行ったあとに、一旦二人で店に戻っており、法廷ではそこを何度かつっこまれたが、きっぱりと「一人でこのまま帰宅するのは心細いだろうし、元気にはさせられないけれど少しは元気にさせられたり、話を聞いてあげられたらと店に戻った」と証言した。
しかも、事件当日女性の自宅までは遠くて高いのでタクシーを使えなかったと女性が証言していたが、その高いタクシー代も払ってあげたそうだ。
また、親に話すことが出来なかった女性に「つらいだろうけれど、自分の口から親に話したほうがいいよ」とのフォローまで。
証言によると顧客は大学生が半分以上で、初回の支払いは0〜3,000円ほど、2回目以降の支払いも12,000円ほどだそう。
被害者女性は結果的には4回ほど来店しただけで女性が店に支払った6万円の何割かしかホストに入らないだろうから、ホストは金銭的時間的には大赤字だ。
ホストの世界のことはよくわからないけれど、人間として道徳にそった行動をする!と中身も行動もイケメンなホストがいるということを知っただけでもなんだか救われた気がした。