裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

圧倒的味方がいる被告とそうでない被告

実刑4年が言い渡され、判決の説明を聞いている被告。

 

首が背中と90度になるくらい下に向け姿勢は小さくなっているが、がたいが大きい。

 

顔は悔しさをにじませ、量刑説明のひとつひとつに、首を横にふりこぶしをにぎる。

 

こんなに自分を表現している被告を見たことがなかった。彼は外国人。おそらくブラジル人かなと。

 

どんな被告でも、基本的には判決を表情変えずに聞き、平静をよそおっているから、この表情豊かな被告人を見て、被告人とは法廷では感情を出さず判決も淡々と聞くものだと勝手な決めつけをしていた自分にハッとした。

 

量刑の説明が終わり、収監される際、法廷の柵の中にいる被告と、柵の外にいる被告の母と泣きながらハグをする。そのハグの上から父も、その上から弟もハグをして、柵を隔てたファミリーのスクラムが出来た。

 

被告の犯した罪は性犯罪だ。日本人の一般的な感覚なら、性犯罪は被告人の母親からすると最もどう対応してよいか分からない犯罪の一つだと思うが、この被告の母親は違った。

 

一般的な日本人母親は息子との間に「世間」が入っている。

 

母親 ⇔ 世間 ⇔ 犯罪を犯した息子

 

こんな感じに。

 

今回のこの被告母は、間に「世間」が入っていない。

 

母親 ⇔ 犯罪を犯した息子

 

だから、法廷で柵を隔ててハグをしたり、家族でスクラム組んだりして、懲役を受ける息子との別れを素直に惜しむことが出来る。

 

被告からしてみると、「世間」を気にして何があっても味方になってくれると感じられるこのような母親と、「世間」を気にして世間体しか気にしていないように見える母親、どちらが更生しやすいかは言うまでもない。

 

この被告は初犯なので、圧倒的味方がいることを糧に更生できるのではないかと思う。