裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

私たちが恐れているのは生きるための最低限以外のことが出来なくなる生活になること

将来生活できるお金がなくなったらどうしよう…

 

誰でも頭の片隅にはあるぼんやりとした不安。

 

ホリエモンひろゆきも別に生活保護があるからいいじゃんと言う。

 

でもほとんどの人が、ああそうか、生活保護があるからいいやとはそこで安心できない。起こってもいない未来の出来事なのに、我々はどうしても不安を抱いてしまう。

 

思うのはタダ。生活保護があるからいいやと思うことだけで今現在の不安を吹き飛ばすことができるのならもう少し日本は明るくなる気がするのだが…。

 

 

先日傍聴した裁判。被告は70歳をすぎたじいさん。

万引きの常習犯。

 

生活保護受給者だったが、将来の不安から貯金をしていた。

お金を使うのがもったいないと思い、万引きしていた。

 

万引きの“節約効果”で、貯金額は80万円に達していた。

 

これほど貯金があれば本来生活保護も打ち切りになるはずで、不正に受給していたということになる。

 

貯金が50万円以上あると、逮捕されても国選弁護人をつけることが出来ない。このじいさんは、“節約”のため万引きした結果、私選弁護士に報酬を払うことになり、貯金を50万円以上減らすこととなった。

 

話を私たちの不安に戻そう。

なんとなく将来のお金の不安を持っている人の不安の分解をもう少ししてみると、いざ困って生活保護の申請をしても通らないかもしれないという不安がある。

 

その点この被告じいさんは、高齢だし医療費もタダだし、生活保護の担当者にもっと働けと無理強いされることもないだろうから、このまま現状維持で死ぬまでお金は国が面倒を見てくれるのに、それでも不安で万引きを繰り返し隠し貯金をしていた。

毎月死ぬまで自動的に国からお金がもらえることはほぼ確定しているのに!

 

そのじいさんは証言で、「コンビニで主食はレジを通してデザートは“もったいないから”万引きした」と言った。この一言は、私たちの不安の意味を深堀りするヒントになった。

 

このじいさんは、生活保護で最低限の衣食住、さらに医療も一生保障されている、この事実だけ見れば何も恐れることはないはずなのに、プラスアルファの贅沢ができなくなることが恐怖だったのだ。

 

私たちのなんとなくの不安もこのじいさんと同じではないか。

寝ることが出来るだけの家よりはもう少し良い家に住みたい、普通のごはん以外にも好きなデザートを食べたい、外食したい、旅行も行きたい…そう、この必要最小限生活プラスアルファの生活が出来なくなることの恐怖に取りつかれているのだ。

 

あなたのないと困るという恐怖をもたらしている必要最小限プラスアルファとは何でしょう?

 

それはこのじいさんのように犯罪を起こしてしまうほどまでいかないとしても、その不安が心身に大きな負担をかけてしまっているのではないか?

 

よくある万引き常習犯の裁判から今日も気づきを得られた。