裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

愛知県蟹江町母子殺害事件から学んだこと

 

事件自体は2009年だが、先日日刊ゲンダイで死刑囚へのインタビューが掲載されていた。

 

警察が犯人を逃がしてしまった不手際があり、逮捕までに3年半もかかった事件のため、一審は2015年。

まだ、傍聴をはじめたばかりでメモすら取っていなかったが、私にとって複数回連続して傍聴した初めての裁判ということもあり、私にとって思い入れがある事件だ。

Twitterで公判当時のことをつぶやいたところ、上記記事を書かれた片岡健さんから貴重な話をありがとうとメッセージをいただいたこともあり、当時の記憶を思い出しながらブログに残しておこうと思う。

事件についてはある程度ネット上に情報があるので、私の記憶に残り続けているポイントの部分を書いていく。

 

愛知県蟹江町母子殺害事件とは

愛知県蟹江町は、名古屋から電車で10分ほどだが名古屋からすぐとは思えないほど田舎であり凶悪事件と結びつかない場所。その蟹江町の民家で母と息子が殺害され、後から帰宅した三男に大ケガを負わせ金品を強盗した殺人・強盗事件だ。

最終的に死刑判決となった。

 

過去の万引きによる罰金刑の支払いの目途がたたず、お金に困っていた当時中国人留学生であった林振華が起こした事件だった。Wikipediaにかなり詳細にまとめてあるので、見ていただくこととする。

ja.wikipedia.org

 

 

法廷での林振華

報道やネットで見ることが出来た林振華は、まさにさわやかイケメンだったが、被告席に座っていたのは、髪が貞子のように顔面にかかり魂が抜けているようだった。拘禁症だと思う。

 

声もかすかに聞こえる程度で、体がゆらゆらゆれていたり、時には鼻水が膝まで伸びていることもあった。

 

まともに証言が出来ないこともあり、逮捕当初取り調べを受けた林振華の動画を流したことがあったが、話し方も穏やか、日本語も驚くほど流暢だった。日本語検定1級も保持。

 

ハイヒールの女性に吸い寄せられて

事件当日、ハイヒールを履いている女性のカバンをひったくれば追いかけられないので成功すると考えた林が、ひったくり目的で女性が多くいる名古屋の繁華街に出向いた。

 

しかし、実行できず帰りの電車に乗っていたところ、ハイヒールを履いた綺麗な女性が降り、その女性を追いかけた形で犯人も下車した。

林は女性を見失ってしまったが、この女性が一度は殺人犯に狙われて何をされるか分からなかったことを知らずにいることを私は願っている。

最終的にはこの事件は猫が導いていた、そして猫は・・・

ハイヒールの女性を見失ってしまった林が呆然としていたところ、猫が通りかかった。その猫がある家に入っていったため、その家が施錠しておらず入ることが出来ることに気付いた。その家がまさに今回の事件現場となった家だ。

事件が起きた家は全く林と関係はなかったが猫が林を導いたのだ。しかもなぜ殺す必要があったのか、林は最後にこの猫を踏みつぶして殺した。

殺された息子の彼女

殺された息子の彼女の供述調書が印象に残っている。亡くなる直前に妊娠したかもしれないと二人で喜んだ出来事があった。最終的には妊娠はしていなかったがこの事件がなければ結婚し幸せな未来がすぐそこにあったのだ。事件は、被害者や戸籍上の家族だけではなく被害者の周りにいる人に一生の傷を残す。

 

来日し毎回必ず傍聴した林の両親、母親は土下座も・・・

外国人が被告の事件で、祖国に住む親が来日して傍聴することはまずない。

そんな中、林振華の両親は、二人そろって来日し毎回傍聴していた。私がその後傍聴を頻繁にするようになったどの被告の両親よりも、事件に向き合っているのではないかと思う。母親が被害者家族に土下座しようとした(が、弁護士が止めた記憶だ)

 

この事件から学ぶこと

林振華は、両親からも愛されていた、勉強も出来た、中国から日本に留学するのはそう簡単ではなかったと思うがその実行力もあった、いわゆるイケメンだった、彼女もいた・・・

他の事件で被告になる人物に比べると持っているもはずいぶん多かった。

経済的には中流家庭で特別裕福ではなかったそうだが、国際電話で金に困っていないか親から尋ねることもあったそうで、本当に金に困ったら頼れるチャンスはあった。

 

最初のきっかけは、授業料のお金の工面がうまくいかず万引きという犯罪で取り繕うことが最終的には死刑が下される事件を起こすほどに麻痺してしまった。

 

死刑になるほど重大なこの事件からも学ぶことは、失敗に向き合う、プライドの取り扱いには要注意だった。