裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

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交際のもつれ、男女双方逮捕事件と人間の妄想力の怖さ

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発表によると、林容疑者は13日午後9時45分頃、愛知県常滑市中部国際空港の立体駐車場に止めた車の中で、男の首を包丁で切りつけ、全治2週間のけがを負わせた疑い。また、男は同日午前11時20分頃から午後0時40分頃の間、携帯電話で数回にわたり、林容疑者に「ころすぞ」などとメールを送り、脅した疑い。それぞれ容疑を認めているという。

 

 この事件について傍聴した。

女性側が既婚子持ち、男性側がシングル子持ちの状態。出会いは、オンラインゲーム。

毎日やり取りをする中で交際に発展。結婚の約束もし、実際に引っ越しのため荷物もまとめていたとの証言があり、単なる口約束のレベルではなかったようだ。

 

ただし男性は大分、女性は愛知と遠距離のため、実際に二人が会ったのはまだ3回ほどだった。

 

2人は交際関係にあったものの、男性は真偽不明だが過去の少年院送りを回避してもらったことや暴力団とのつながりがあること、また外国人に頼めば人を消すことくらい簡単にできるなどとの話しており、女性はそれを恐怖に感じていた。

 

当然女性は離婚してからでないと再婚出来ない。男性は、女性の離婚が進まないことにいら立ちを隠せず、女性の夫の殺人も「GOサイン」さえ出せば実行できるなどと口にしていた。

 

女性の証言から、キレたら人が変わる、依存もあり、離れたら怖いので離れられなかった、そんな状態だったという。

 

離婚成立後は、今まで夫に向いていた刃が今度は自分や子供たちに向かうと恐怖を感じ、いつ男性が「GOサイン」を出すか恐怖で追い詰められ、もうやらなければやられてしまうと追い詰められて今回の事件となった。

 

証言中、何度も「GOサイン」というワードを使っていたのが印象的だった。

女性は今でもまだ、いつ「GOサイン」が出て子供たちが殺されてしまうかもしれないという恐怖はぬぐいきれていないという。

 

男女関係のもつれは常に起こることだが、今回の事件を詳しく見ていくと、男性が実際には存在しないと思われる第三者を恐怖の対象として作り上げ、女性はその恐怖がゆえに心身ともにコントロールされ、行き詰った先に取返しのつかない事件が発生した、そんな事件だった。

 

女性はこの男性にかかわるまではいたって普通の市民だった。

そんな普通の女性がよく分からない存在に子供を殺されてしまうかもしれないと本気で追い詰められてしまい自分が殺人未遂事件を起こしてしまったのだ。

 

私達がこの事件から学ぶことは、コントロールが長けている人にかかってしまえば恐怖はどこまでも大きくなり、誰でもこの精神状態になってしまう可能性はあるということ。コントロールが長けている人がよく使う手法で、本日判決が出た福岡の5歳児餓死事件の首謀者も恐怖の第三者を作り上げている。

 

この恐怖の第三者でよくあるのはやくざだけれど、なぜ怖いかというとよく分からないから怖いと感じる。

 

普段の生活に落とし込んでみても何かを怖いと感じた時には、自分が感じている恐怖が実際には増幅されているはずだと一旦落ち着ちつき、事実を元に問題を分解していくことが大事だろうと思う。

 

※2022/07/05追記 この裁判の判決は懲役3年執行猶予4年だったと傍聴仲間より情報をいただいた。