全犯罪者の約半数以上は再犯者というのはよく知られている。
再犯プログラムが存在していることも知っているけれど、内容もよく分からないし、実際再犯プログラムが受刑者の更生に助けになっていないと思っていた。
先日、NHKハートネットTVで小さな子供がいる女性受刑者への更生プログラムで、女性受刑者が読み聞かせたCD音声を子供に届ける活動があることを知った。
児童文学作家の大学教授が直々、刑務所へ何度も出向きグループでプログラムを行う。
普段は私語禁止だが、プログラム中はそれぞれ名前で呼び合い私語も許可されている。
まずは、どの絵本を読み聞かせするか本を選ぶところから。
自分の本が決まれば、何度も何度も練習する。絵本を読んだことも読んでもらったこともない受刑者が大半のようだった。
プログラムの終盤には、自分の房に本を持ち込むことが許可され隙間時間に何度も練習する姿が映し出されていた。
最初はどう読めばよいか分からなかった受刑者も、みるみる上達しているのが分かった。
番組内では、受刑者の子供にも取材を行っていた。まだ小学生くらいだろうか。薬におぼれていたころの母親の様子を生々しく語っていた。母親が薬をやっていることをしっかり理解していたのだ。
親が薬物におぼれているという子供へのインタビューなど、一般の私たちが知ることができるとても貴重な映像だった。
依存症は自分の意思でなんともならないのに「もうやりません」の本人の意思にまかせている日本の司法に失望していたけれど、この絵本読み聞かせの取り組みは本人の再犯への誘惑から現実に引き戻す強力な吸引力となっているはずだ。
この12年でプログラムに参加し出所した人は73人。2022年7月末現在、57人が再び罪を犯さず社会復帰しています。
実際に全体の再犯率は60%弱で、母数は少ないとはいえこのプログラム参加者の再犯率は約20%とすれば実際の数字上でも効果が出ていると言える。
更生プログラムに司法が力を入れていないと思っていたが、このような素晴らしい更生プログラムを行っていることが知れて少し希望を持てた。