裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

「間違えないように」生きるストレスからの犯罪

性犯罪被告は、他の犯罪の被告に比べて学歴が高かったり、正社員で働いている率も高い。

 

裁判では具体的な大学・会社名は伏せられることも多いが、有名大学出身だったり大企業に勤めていたんだろうと分かるケースもある。服装にも気を使っているし、普通に家庭を持っている人も多い。

 

そして被告はほぼ「仕事のストレスで・・・」「家庭のストレスで・・・」と言う。

 

この間見た性犯罪の裁判。

被告は有名大学出身で一流起業で働いていたようだ。懲戒解雇になったが40代の被告の年収は1100万円程、エリートだ。

 

きっと「きちんと勉強して良い大学に行き、良い会社に就職する」という「正しい道」を歩み、間違わないように常に努力をしていたのだろう。被告は一人息子だから親からのプレッシャーも強かったのかもしれない。

 

情状証人の母も、きっと事前に練習した受け答えを「間違わないように」文章を読むように答えていた。棒読みだった。

 

保釈されている被告は、離婚し今は母親と二人で住んでいる。でも、同種犯罪で罰金刑になっている随分前の犯罪を全く覚えていないと言ったり、母親もそのことについて深く息子につっこんで聞いていない。

 

世間一般に良いとされる人生のコースを歩むことは、大変だけれど安心。だって「これが良い」と示されているから。このコースを進めば人生間違わなくてすむ。

 

世間一般に良いとされているコースが自分にあっていれば何ら問題はないし、あっていれば犯罪をしてしまうほどストレスがたまることはない。

 

この母と息子は「あるべき理想の人でない自分と向き合う勇気」と「人生間違えたくないという恐怖心」が世代を超えて受け継がれ、偶然被害にあってしまった全く関係ない少女を巻き込んだ。

 

 性犯罪は他の犯罪に比べて捕まるのは氷山の一角。若い女性であればほぼ何らかの性犯罪被害にあっているのではないかと思っている。

 

そんな被害者をたくさん産むことになる性犯罪被告、被告予備軍を作り出しているのは、もしかしたら、正しい道を歩まなければならないプレッシャーや、道を外れてしまった場合の恐怖を与える社会なのかもしれない。