コロナのコの字もないころからインドネシアのバリ島への旅行の予定を組んでいたが、キャンセルになった。
旅行は3月だったが一番安い飛行機、中国東方航空で渡バリ予定だったので、飛行機自体が2月にはキャンセルが決まった。自分の意思でキャンセルを決める苦悩を味わわなくてもよかったのが不幸中の幸いと思うしかない。
楽しみにしていたバリ旅行がキャンセル、でもタダでは起き上がりたくない!
こんなことが起きたからこそ出来たという過ごし方をしたいという執念が出てきた。飛行機や新幹線も使わず、車で行ける範囲。でも今このような状況にならなければなかなか思い付くこともなかったような特別な旅行。
めちゃくちゃ難しいテーマを自分に科した。そもそも、「地名+観光」や「〇〇に行ったら必ず行くべき場所」などグーグル検索結果に表示されるような普通の場所なら、全く「ならでは」の特別な旅行ではない。
自分で考えて「もしかしたらこういうところが興味深い旅行先になるかも」と想像力とひらめきを引き出していく作業を続けた。
宗教が保有している島が気になる
バリ島もそうだけど、島には独特の魅力がある。この機会に日本の島にも目をむけてみようと思い、この作業の手助けアイテムの一つとして「島の博物事典」というひたすら日本の島について解説してある本をながめていたところ、「宗教が保有している島」という紹介記事になぜか「行けるのかな」と思ったことが発端。秀明会という宗教が所有している岡山県の貴島という島だ。
宗教が保有している島なら私有地なのに、なぜか「行けるのかな?行ってみたい!」という気持ちがフツフツとこみ上がり、勇気を持って直接交渉してみた。(本当に勇気を振り絞った!)
正式に許可を取れ、しかも当日は船で迎えにきてもらい島の案内もしていただけることに。これこそバリに行けなかった無念が晴れた。
宗教が所有している島に行けた!
当日、担当の方と予定通り港で会うことが出来、その日は島内の電気設備保守点検の電力会社の方も一緒に乗船。同乗者に信者でない一般人もいたので少し緊張がほぐれた。
島内には道場、神殿、キャンプ施設など多少の建物はあるが、店もないし車もない、観光っぽい雰囲気もないので今まで味わったことのない不思議な感覚だった。資本社会では出てこないなんとも言えない不思議な雰囲気というか。
黄島には住んでいる人はいないのだが、約20名ほど秀明会の人達が通いで農業をしている。完全無農薬の野菜や果物を育てたり、養鶏をしているのだが、それぞれ野菜、果物、養鶏など担当が分かれており水が少ない瀬戸内の気候にも工夫しながら愛情をもって育てていたのがとても印象的だった。
目の前で、収穫したそら豆を生で食べさせてもらったり、キャベツをつまんだり、完全無農薬の今取れたての野菜を食べるなんてこれ以上の贅沢はないと感激した。
島には本来の生活の営みがあった
一般的には、宗教というと無理な勧誘とか搾取とかあまり良いイメージが無いし、私が黄島を訪れた数時間で分かることなんて表面的な一部分だけれど、少なくともそこにいた信者は「生活を営んでいる人達」という印象を受けた。
普段「生活を営んでいる」という感覚を自分で感じたり「この人は生活を営んでいるなあ」と感じることはほとんどない。本当は一番大切なことなのに。信仰を大切にし、自然と一緒に生きる、本来であれば人間の営みはこうなんだよなと当たり前を気付かせてくれた貴重な体験だった。
帰りにお金をはらったとしても手に入れるのは難しい素晴らしいクオリティの完全無農薬の菜や果物のお土産までいただいた。
黄島訪問したことを友人に話すと、陸続きでないこともあり無事に帰ってこられたのか、入信するまで返してもらえないのではないか心配されるという、ほぼ同じ反応を示された。秀明会のパンフレットはもらったが、特に勧誘されることもなく、特に入信しそうもない私のような訪問者に丁寧に対応していただいた秀明会の方、ありがとうございました。
神殿の中は写真は不可なので見せられないけれど、神殿の椅子はデザインが素敵。この椅子をデザインした設計会社のHPで紹介されていたのでリンクしておく。www.frst.co.jp
黄島に行ってからブログにアップするのに2ケ月以上かかってしまった。
これからはもっと体験や考えたことをすぐに頭を整理してアップしていきたい。 アフターコロナ、宗教はどう変わっていくのかも興味がある。