裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

戦争と平和の資料館に行って学んだ防空法

建物の前を何度も通ったことがあるのに、全く存在に気付かなかったのだが名古屋市内に「戦争と平和の資料館」があるのを先日発見した。

 

この施設は、1990年代忘れ去られていく戦争を次世代に伝えていくために資料館を作ろうという市民運動から紆余曲折のあと、加藤たづさんという当時84歳のご婦人が土地と建設費1億円の寄付されたことにより出来た資料館だ。

peace-aichi.com

 

近くで用事があったので、早速行ってみた。

 

市民運動と個人の寄付から創立された資料館ということもあり、係員の方もボランティアだそうで、展示は重い戦争というテーマだけれど係員同士も和気あいあいとした雰囲気で、かえって私にとっては安心できた。

 

館内は撮影禁止、また閉館間際に行ってしまい十分に見ることが出来なかったので多くを語れないのだが、空襲に対しての防空対策として「防空法」というのがあったことを知ることが出来たのが収穫の一つだった。

 

市民に対して疎開も制限、「空襲から逃げずに消化することは国民の義務」として消化活動を義務づけられていたり、避難や退去を禁じたり、空襲時に夜電気が外に漏れないように明かりを制限したりした法律だ。

 

素焼きの茶碗をひっくりかえしたような形の砂弾(さだん)防空投砂器が展示されていた。

その容器の中には砂が入っていて、火にそれらを投げると素焼きの容器が割れ、中の砂で焼夷弾の消化が出来るとされていたそうだ。(もちろん、そんなことで消化がうまく出来なかったはずだ)

 

灯火管制に関する展示では、ランプカバーと側面が黒く塗られ真下しか照らさない電球があった。

ランプカバーにはステッカーのようなものが貼ってあり、そこには現代の左から右向きではなく、右から左向きに「愛国防空カバー 護れ大空 洩すな一燈」の文字が印象的だった。

 

家が燃えていても、逃げることも許されず「小さな容器に入った砂で消化活動をする」行為をしなければ、非国民となる。

その後ネットで調べてみると、消化活動でバケツを持ったまま亡くなった人を称賛する当時の新聞記事があった。消化活動に命をささげたことを称賛されていたということだ。

 

防空法は、結果的に空襲による被害を更に大きくし、市民にとっても国にとっても幸福をもたらさない法律だった。

 

 

法務省のきっずるーむという子供向け教育ホームページでは、「法は私たちをしあわせにしてくれるものじゃよ」と説明している。