裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

前回の裁判に電車賃が用意出来なかった万引き犯(量刑記録)

【罪名】窃盗
【判決】懲役1年(執行猶予3年)

前科2犯、前回20万円罰金刑の女性。
スーパーで万引き。主人が情状証人。

ご主人の月収が22-23万ほど(被告人は無職)
生活費足りないと万引き。
対策として被告人自身もバイト見つけるとのことだが、今後収入少ないときはどうする?の質問については、「前借り、ネット後払いを利用する」の回答…。

スロット辞める意志なし。

誰もが動画を取れるようになったメリットとデメリット

最近ニュースでよく出てくるあおり運転の動画などを見て、今みんながスマホを持っているので、昔なら証拠が残らなかった事件も、このように動かぬ証拠として簡単に残すことが出来るようになってよかったと思う。

 

急にあおり運転する人が増えたとは考えにくいし、今まで顕在化していなかった問題がテクノロジーの進化により顕在化してきたと考えるのが自然だろう。

 

ただ、証拠を残すという同じ目的でも、犯罪者もそれをうまく利用している。特に性犯罪では、被害者の口封じのために録画したり写真を撮ったりしていることが頻繁にある。性犯罪がおきたその場の恐怖は言うまでもなく、残った画像の存在が被害者の恐怖と絶望を増幅させる。

 

そしてその口封じのために撮った画像が、被害者へ及ぼす影響について、いくら後から想像する時間があったとしても、理解している被告を今のところ見たことがない。

 

公判でのやりとり。

 検察官:「犯行のあと、被害者の写真を撮ったのはなぜ?」

 被告人:「まあ・・・なんとなく、記念撮影的というか・・・」

 

こんな調子で、画像を残した意図を正直に話す被告はあまりいないし、画像を被告ににぎられている恐怖について想像をしたことがまずない。

 

頭の良い人達がテクノロジーを進化させてくれ、私達はそのメリットを享受させてもらっている。ただ、その何倍なのか分からないけれど見えないところで悪事に利用されている。物事すべて陰陽、表裏一体。

 

 

まともな人間でいたいと思う欲望との戦い

傍聴している公判で、ある一定程度の割合で介護殺人事件に出くわす。

 

私が今まで傍聴した介護殺人では、比較的介護を初めて初期の段階で事件が起こっている。そして、その被告の周りには、介護に無関心な他の家族、見て見ぬふり、一人で頑張ってしまう被告、自分の範疇を超えて介護を頑張らなければならないという呪縛・・・、どの事件からもこの要素が浮き彫りになってきた。

 

介護にかかわらずだけれど、「〇〇でなければならない」という呪縛は、閾値を超えてしまうと、大変な事件になってしまうことがある。

この気持ちは自分の中の思いなのに、自分で自分を苦しめ、とりかえしがつかなくなってしまう。

なぜ、「〇〇でなければならない」と思ってしまうのか・・・。育ってきた環境や「世間」というよく分からないものからの圧力からそう思い込んでしまっているだけなのだとしたら、まずは自分が苦しんでいることを自覚する。

そして自分はどうこの状況を改善させることが出来るのか、そういうことを考えることができるかどうかが大きな分かれ目になってくる気がしている。

 

「自分が苦しい時、苦しめているのは『〇〇でなければならない』という自分の思いこみかもしれないと考えることが大切」

 

介護は、誰でもその状況に苦しむことはありえるので、こういった身近なテーマから起こる事件から学びをえることは多い。

 

 

今年初傍聴は空振り

今日、張り切って裁判所に行ったけれど、

刑事:午前1件、午後1件(判決)
民事:0件

だった。

家裁の開廷表に、午後3件(いずれも離婚)あったので、年明け早々離婚裁判の出廷大変だなぁと思いながら、待っていたが3件とも中止。

1件は原告代理人は来ていたけれど、被告が出廷せず。(病院の待合室のように「○○様~いらっしゃいませんかー?」と裁判官がロビーで呼び掛けるが誰もいない…)

他2件は、裁判官すら居なかったので、事前に中止が決まっていたのだろう。

今年初傍聴は肩透かしだったけれど、離婚裁判は今日もこういった形で、結婚→離婚で浮き彫りになる人間の怖さを教えてくれた。

今年も人間について学んでいきたい。

ストーカーや嫌がらせが愛知県迷惑行為防止条例として厳しく取り締まり出来るようになった

新年になり、ストーカーや嫌がらせに厳しく取り締まりが出来るよう、愛知県の条例が改正された。

愛知県警察/愛知県迷惑行為防止条例(平成31年1月1日施行)

 

条例をそのまま読んでも、やたら回りくどくて難しい言葉が並んでいるので(法曹界の方々、本当に尊敬します!)一つ一つ理解するのは難しいけれど、今回の改定でよりストーカーや盗撮に対して、より厳しくなった。私の理解では要点は以下の2点。

 

■「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が、「恋愛感情や好意」がある人がストーカーする想定で作られているけれど、つきまといや嫌がらせの動機は、好意だけではないので、「恋愛感情や好意以外の動機からのストーカー」も取り締まれれるようになった。

 

■改定前は、盗撮用のカメラ設置だけでは取り締まれなかったが、改定後は、カメラ設置だけでも取り締まれるようになった。また盗撮行為の場所についても改定前は「公衆の場所」だった為、誰でもいつでも利用する場所ではない為に公衆の場所とまでは言えず、取り締まるのが難しかった「学校・更衣室・タクシー・ホテルの部屋など」も対象となり、規制場所を拡大した。

 

いつも思うけれど、犯罪は法律のずいぶん先をいっているので、相当被害者が犠牲になってようやく法律が出来るという後追い。

ストーカーや、ご近所トラブルなど、迷惑行為は一般市民にとって一番身近で被害に遭うかもしれない犯罪だと思っている。

 

ストーカー相談を警察にしにいっても、なかなか取り合ってくれないという話もあるそうだが、今回の改定でストーカー対策用のブザーの貸し出しも出来るようになっているみたいなので、おそらく相談しやすくなるのではないかと思う。

 

出会い系で出会った中年女性がストーカーへ豹変(量刑記録)

出会い系で出会ったアラフィフ同士中年男女。別れ話がもつれ女性がストーカーとなった事件。

 

【罪名】ストーカー行為等の規制等に関する法律

 

【判決】6月 執行猶予3年(求刑6月)

 

最初は週2位でデートし、合鍵も渡したり、お互いのスマホに位置情報が分かるアプリを入れていたくらい親密な付き合いだった。

ある時、男性が彼女の位置情報を確認したら、そこはラブホテル・・・。

 

そういったことからも別れ話になったがもつれ、女性がストーカーへと暴走。警察より口頭、その後書面で警告を受けたにも関わらず書面警告5時間後の事件。

 

ストーカー警告を書面で受けても、なぜすぐに被害者宅へ向かったのかという質問には、書面での警告は重要なものとの認識がなかったとの回答。

 

裁判長は、二人の問題に警察が介入するということはよっぽどの事なのだと被告をさとし、今後は一切かかわらないことを約束した。

 

ここで、ストーカー被害にあっている人が相談できる窓口が愛知県でもあるようなので、ここに記載しておく。もし悩んでいる人がいたら活用してほしい。 

愛知県警察本部では、女性警察官を含む、専従の警察官が対応する相談電話を開設しています。
・ストーカー被害に困っている、・どうしたらいいか判らない、・etc・・

ストーカーの問題で困ったときは相談電話をご利用下さい

052-961-0888 《ストーカー110番》

 

現在の一夫一婦制にかなり無理があると東大教授の先生も言っていた

 

 

離婚の裁判を傍聴するたびに、そもそも一夫一妻制に無理があるんじゃないの?そもそもの婚姻のルール自体をもう少し見直す必要があるんじゃないの?と思わざるをえない。

家に帰ればテレビでは、年がら年中芸能人の不倫や離婚の話が目に入ってきて、なんかみんな無理なことに対してエネルギーを使いすぎているように思う。

 

私は一夫多妻を賛成というわけではないし、日本が突然一夫多妻制OKに法律が変わるなんて考えられないけれど、もう少し結婚と離婚をスムーズに出来るようになれば、人の苦労と苦悩を随分減らせるのではないかと思う。

転職をスムーズにできるよう解雇と転職をしやすくと言われているのと似ていて、結婚についても、3組に1組離婚するといわれているのに、結婚がもう絶対的なもののようにイメージされるから、結婚に二の足を踏む人もいるし、結婚したらしたで、本当に辛いのに離婚をしないでいる人がどれだけいるだろう。

 

離婚の裁判を見るたびに、人はこれほど憎みあい、だまし合うものなんだと恐ろしくなるし、もう少し離婚がしやすければ、ここまでこじれる前に別れられると思う。

ルールに無理があるから人が不幸になっているともいえる。

 

そんなことを日々思っているところに、今日NHK又吉直樹のヘウレーカという番組を見た。生物学や神経科学の観点から記憶と恋愛メカニズムを研究している脳神経科学者の奥山輝大先生がゲスト。

 

その先生も、霊長類の一種として、人を動物として考えた場合、人にとって一夫一妻制は最適ではないと言っていた。

 

本来、一夫一妻制は環境が厳しいエクストリームな状況で出てくる婚姻形態。複数の異性の中から選ぶ場合は、選ぶ出会うコストがかかる。そんなことをする余裕がない砂漠とかだと最初から一夫一妻にして強いつがいを作った方が生き残りやすく、進化的にそちらの方が生き残った。

 

人間は、戦う相手も今はいないし、動物としては今は余裕がある。動物の本能としては無理している状態。

  

優れたオスの子供を残すことで種として残っていくほうが種としては安定する。人間が種としての繁栄ではなく個体としての幸せを選ぶシステムを作ったのが面白い。

 

やっぱり現在のルールは無理がある。これでは結婚している人もしていない人もみんなが不幸になる。

かといって一夫多妻にルールが変わるというのは現実的ではないので、まずは人々の「結婚したら上がり感」をなくすことと、離婚の話が出て別居していたら、他の異性と関係があっても問われないなど、みんなの意識と結婚生活の破たんのハードルをもう少し下げることからかなぁと思っている。