裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

名古屋刑務所で受刑者が熱中症で死亡

名古屋刑務所で受刑者が熱中症で死亡したというニュース。

www3.nhk.or.jp

 

この受刑者が、どのような罪を犯したかは分からないが、死刑でないことは確実。

 

受刑者は、自分で食事や飲み物を調節することも出来ず、涼んだりも出来ない。亡くなった受刑者にかわって抗議したり何か行動を起こしてくれる家族がいればよいなと思う。

何度も罪を犯している人など、家族に愛想をつかされて、天涯孤独な被告は珍しくないからだ。

 

つい最近、小学生が熱中症で死亡し、愛知県の小学校のエアコン設置率が全国平均でもかなり低いことが分かった。(予算は別枠だとは思うが)小学校のエアコンを差し置いて刑務所のエアコンを先にということは難しいはず。

 

全国の天気予報を見ても愛知県が全国で一番温度が高いことがよくあるので、公共施設の予算の分配が正当な優先順位で行われることを望む。

証人尋問でFBI捜査官登場!

外国人の犯罪はしょっちゅうあるので、当然外国人の証人も特段珍しいことではない。

 

ただ、今回の証人はエリートのオーラが・・・。

なんとFBI特別捜査官!

 

FBI捜査官なんて映画の世界の人か、現実世界にいる人としてのイメージがなく、まさかこんな場所で生のFBI捜査官にお目にかかるとは思っていなかった。40代と思われるビシっとスーツを着こなすスマートな男性。映画で見るFBI捜査官のイメージ通りで期待を裏切らなかった。

 

事件の内容は、アメリカでの詐欺事件の資金洗浄疑いで、関わりのあるアメリカの会社に対して事情聴取をしたのがFBI捜査官ということで、今回証言をすることになったようだ。

 

FBI捜査官に証人出廷してもらうために、相当色々な人が動いたと思われるが、証言内容は事情聴取をした時の様子についてだった。

 

一つ勉強になったことは、アメリカで合衆国法典第18巻第1001条という政府に虚偽を述べることを禁止した法律があるということ。

 

FBI捜査官は事件に関連して聴取した会社担当者には「真実を述べるように」と説明をしているので聴取内容は真実に基づいていると証言。

 

証言の内容は特筆すべきことはなく期待はずれだったが、証人がFBI捜査官という公判を傍聴出来たことは貴重な経験だった。

 

他人を裁く行為のメカニズム

テレビをつければ、コメンテーターが毎日誰かを裁きネットでも無名なブログにさえも裁きまくっている人がいる。

「不謹慎な人には自分が制裁を加えなければ」というその人なりの正義感、また制裁を加えることによって憂さ晴らしになるから行動して
いることまでは理解できる。

ただ、なぜそこまでの労力を使って多くの人がそのような行為をしているのかと疑問に思っていたが、この記事を読んで少し納得。

toyokeizai.net



制裁を加える行為はドーパミンが分泌されるが、制裁を加えた人個人的には労力と仕返しのリスクがあり、得られる物としては脳内に分泌されるドーパミンのみ。

一番得するのは制裁を加えた人を除く労力も仕返しのリスクもない集団構成員。

集団において不謹慎な人は排除されなければならず、不謹慎な人の為に集団のルールを逸脱した状態にならないようにするために叩く人が必要。

なぜドーパミンが分泌されるメカニズムなのかというと、誰かを叩く行為というのは、本質的にはその集団を守ろうとする行動だという解説。


なるほど、実際に行動に移すかどうかは別にして、誰かをたたくという行為はメカニズムとして自然な流れということ。しかもネットで匿名で叩く分には仕返しのリスクもないし、通信コストがほとんどないとなれば、リスクの部分が随分少なくなり、リターンであるドーパミンの快感をより簡単に得ることができるということだ。

こう冷静に考えると、単に叩いている人を見聞きし嫌な気分になっているところから心を離すことが出来そうだ。

そして、自分で意識しないうちに誰かを叩いているかもしれないという意識を自分で持っておく必要がある。
ネットで叩くことは本来のリスクの負担が軽くなるため、必要以上に自分の正義をふりかざしやすくもなる。

人を叩くという行為は、ネットが身近なものとなった今どきの行為ではなく、人の脳は元々このように出来ているというのは驚きでもあった。

脅しの最上級(強要の量刑記録)

子供に会えないのは元妻が面会を阻害しているからと一方的に思いこみ、元妻の弟を待ち伏せ。元妻の弟に、エアガンをにぎってカバンに入れ本物の銃と見せかけ、

「俺は腹をくくっている」

と、脅し元妻の自宅まで45分運転させる。

元妻の自宅の前で電話をさせ呼び出すよう強要。

 

過去に元妻の不倫相手を殺し、14年の懲役を終えたが、今回の事件は出所後2年4ケ月経過した頃の犯行。

 

実際に殺人を犯した人間に「腹をくくっている」と1時間近く拳銃をつきつけられる恐怖は、恐怖の中でも最上級だろう。

 

前回の殺人も今回の強要も、執着した相手は同じ元妻。

長い懲役は全く意味がなかったことになる。

 

こういった事例があることを私達は覚えておく必要がある。

 

【罪名】強要

【判決】懲役1年10月(未決勾留20日参入)

強姦ナンパ師のナンパテクニック

先日傍聴した強姦イケメンナンパ師の公判の続きを傍聴することが出来た。

 

今回は被告人質問。既婚でアラサーの被告人は約10年間、多い時は週3-4回ナンパがライフワークになっていた。

 

被告は通学時、駅まで自分を見に来る女性ファンがいたエピソードも交え、自分のルックスにもナンパテクニックにも自信があると豪語。

 

ナンパしたい男性にはそのテクを、女性はテクの裏側を知っておくため、被告流ナンパテクをまとめておく。被告直伝のナンパテク披露は、ナンパ塾に行かないと教えてもらえなさそうな、なかなか具体的で再現性がある内容だった。

 

note.mu

 

性犯罪被害者が低年齢化している問題

裁判傍聴して最初に驚き、これからも増々被害が深刻化していく問題の一つとして、性犯罪の被害者の低年齢化がある。

 

登下校中を狙って面識のない小学生が被害者になってしまうパターンもあるが、もっと深刻なのは知っている大人(親、兄弟、先生、学校関係職員、学童職員等々・・・)が加害者になっているパターン。

 

知っている大人だからこそ、最初は何をされているかもよく分からず、「何かいけないこと、気持ち悪いこと」をされ不快感や恐怖を感じるのだが、加害者に口止めされる。

 

被害者と日常生活で継続的に会う関係の為、何度も行為が繰り返され、被害者の体の成長と共に行為もエスカレートしていく。

 

例えば、最初は服の上から触る程度が、だんだん直接触るようになり、被害者は何をされているかも理解しないまま性交をさせられている・・・。

 

検察官が読み上げる被害者女児の「おとうさんが、私のおしりの穴におちんちんを入れて、おしっこをしました」という供述調書を聞いた時には、胸がはりさけそうになった。

 

もちろん「おしっこ」というのは射精のこと。 小学生低学年の子供が自分が何をされているのか、何が起こっているのか理解もできないのは当然だ。

 

具体的な解決方法など全く思いつかず心を痛めているだけの私だったが、助産師・ナースで小中学校・高校で性と命に関する講演をしている女性がいることを知った。

 

彼女の名前は大貫詩織さん。

 

「子供たちが"知らなかったから"という理由で傷つくことがないように正しい知識を伝え、困った時に相談できるスキルを身につけられるように話している」

 

大貫さんの話によると、世界基準では性教育は5歳から。そして、最初は体の部位の名称を正確に教える。

性被害にあってしまった時に名称も分からなければ被害を人に伝えることも出来ないし、知識がなければ自分が性被害にあっていることすら分からず、大人になってから気付き、トラウマを背負う人も多くいるそう。

 

まさに、先日私が傍聴した「おとうさんがおしりのあなにおしっこをした」という供述は5歳から国際基準の性教育を受けていれば、顛末が少しは変わっていたかもしれない。

 

性犯罪の裁判は、被害者特定事項の秘匿事項(被害者氏名住所等、被害者が特定できる事項を傍聴人に公開しないこと)となり、基本ニュースにならないし、加害者が身内だと必然的に被害者も分かってしまうため、加害者の名前すら開廷表に表示されないケースもある。

 

性犯罪はそもそも裁判になるケースが氷山の一角だし、その裁判も秘匿事項の為、社会にまで実態や問題点が届かない。

 

大貫さんのような活動がもっと広がり、せめて日本の性教育が国際基準にあわせることは必須なんだろうと思う。 

 

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苦肉の一夫多妻制を実現した男

中川俊直議員のハワイ重婚写真騒動の時、こんな短絡的な人がいるのかと呆れ驚いたが、ハワイで挙式どころでないトンデモ重婚騒動が法廷で繰り広げられた。

今回傍聴したのは、だまされて離婚届けを書かされた妻側からの訴訟。

夫は、不倫した女と子供まで作り、さらに不倫相手と結婚するために、妻に「自分はヤミ金に借金があって結婚してると危険が及ぶ。形式上なので離婚届書いて。落ち着いたら籍戻すから」と突然言われた妻は、役所に提出する前に知らせる事を前提に形式上ならと離婚届けに署名。

妻が離婚届をすぐ応じるよう、妻の勤務先にも事前に自作自演のヤミ金からの脅し電話をかけ妻を怖がらせている。


離婚届はすぐに提出されないと認識していた妻は知らない間に自分が離婚していることになり、半年後に勤務先から自分が離婚していることを知らされた。

夫は妻を騙して書かせた離婚届を翌日提出し、その翌日不倫相手との婚姻届と出生届を提出。

不倫相手の子供が産まれて約1ヶ月間
無戸籍状態で、ようやくお尻に火がついての行動、というわけだ。

夫は不倫中~不倫相手の子供が産まれるまで何年もあったのに、妻にも不倫相手にも良い顔をし、ずるずると問題解決を先伸ばしにしていた。

しかも、不倫相手はメンヘラで結婚は長く続かないはずだから、不倫相手と離婚し、また元の妻と結婚しようと思っていたと夫は証言した。


世の中に不倫する人は数多くいるが、どこかの時点で、何とか解決せざるをえなくなるはずだ。

ただ不倫相手の子供が産まれてなお、どちらも解決せず、ここまで流されるままな人がいることに驚いた。


男にとって不倫で一番都合の良い状態なのは「どちらも選ばない」こと。

ここまで問題を先送りし、「どちらも選ばないことに執着する人」にしたら婚姻届なんてただの紙。

未婚率が上がっている昨今、婚姻届の重さに身動きがとれなくなっている若者も多いだろう。こんな男から何か学ぶとしたら、結婚を重く考えすぎない心、まさに「結婚は紙切れ一枚」