裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

人の話の受け止め方、言葉の受け止め方

裁判を傍聴していると、被告人、関係者の証言を聞く機会が多い。

自分は事件の当事者ではないので第三者として客観的な立場から聞くことが出来る。

刑事事件は99%有罪と言われており、どうしても被告人を悪者として見てしまうフィルターはあると思うが、被告人が反省しているかどうかは感じとることができ、他の傍聴人とも感じ方はおおむね同じだ。

反省していないと感じるのはペラペラと言葉を多く話す被告人、弁護士とやり取りを練習したのかと感じさせるテンプレート的な答え、うわっつらの言葉、弁護士からの質問にはスラスラ答えるが反対尋問になるとしどろもどろ・・・

いくら被害者に「申し訳ありません」とあやまっても、どうしても心がこもっていないように聞こえてしまう。


例えばいじめにあっている人は「言葉」で傷ついている。本や雑誌、インターネット上では「言葉」で人々を勘当させたり人生を変えさせるほど大きな影響を持つ。

なのに、法廷の中では「言葉」がこれほどまで意味をなさないのかと驚かされる。

計画的に宅配ピザ配達員のお姉さんを襲った事件

誰がどう見ても許せないと思う事件。

そんな事件なのに、そんな事件だからこそ報道がされない。

女性の皆さんに特にこんな事件がすぐそばで起こっていることを

知ってほしい。

 

【事件の内容】

被告が過去に利用したことのある宅配ピザは女性ドライバーが配達することを知っていた。

ピザを注文し被告宅に届けたところ「遅い!」など因縁をつけ、玄関に連れ込み口淫させようとした。

スタンガンを用意し、犯行前から玄関にむけてスマホ動画がセットしてあり計画的な犯行。被告は覚せい剤も使用。

100万円の示談金支払い、母親が情状証人で出廷。

 

【罪名】

強制性交等未遂、覚せい剤取締法違反

 

【判決】

3年

子供が遊ぶ公園での自慰行為の言い訳

外国人居住者がこれだけ増えてくると、当然外国人犯罪者も増えてくる。

 

外国人の被告には通訳が付き、日本語での部分と外国語での部分とそれぞれ通訳されるので単純に2倍の時間がかかる。

日本人が同じ犯罪を起こした場合よりお金と時間が(税金)がかかると思うと複雑な気持ちになるが、街中で外国人が働いており、彼らの労働は日本で欠かせないものになっている。母数が多くなれば一定の犯罪がおこるのは当然だろう。

 

今回傍聴した事件は、中東系外国人の男性が白昼の公園で自慰行為をしていたという内容。

白昼、親子連れが多く集まる公園で公衆トイレの前で行っており、証言者は子供を遊ばせていたママ達。

一人のママが被告に気付き、もう一人のママに注意を促す。

もう一人のママが被告に気付かれないように、さりげなく髪の毛を結ぶふりをして被告の様子を観察した供述調書は臨場感があってリアルだった。

 

被告は終始犯行を否定。

公園のトイレで手に大便がついてしまい、手を洗うところを探していた

と主張。

 

ちょっと笑ってしまう言い訳だが、裁判なのでもちろん真面目に手続きが進む。

この言い訳に対し、公園の防犯カメラの〇時〇分~〇時〇分の5分ほどその場にいたこと、ママ達の証言も5分くらいとカメラの時間と合うこと、もし被告の主張が正しければ手洗い場を探すのはせいぜい数秒であり5分も同じ場所にいることは不自然と認定された。

 

判決は罰金15万円、もし支払いが出来ない場合は禁固千円/1日。

 

日本中で被告のようなことをしている人は沢山いるけれど裁判までいっている数はほとんどないはず。

捕まらないと思っている人がいたら5分の露出で15万円だぞ!と教えてやりたい。

強制わいせつの量刑記録

被告は24歳男性。

既婚、妻子有。

美容師だったが、逮捕後解雇。

同様事件で前科有り執行猶予中の事件

保釈されていた。

路上で女性に抱きつき着衣の上から胸を揉むという強制わいせつ。同様2件の事件で起訴。

情状証人で妻と母親が証言。

 

求刑2年6月

 

窃盗の量刑記録

知的障害有

前科3犯

盗品は子供用パンツ時価200円相当

反省しているが欲求の制御傷害も有り

二度としないと誓っている

障害者機関支援相談センターの更生支援は期待できる

cocoronotomo.hatenablog.com

 

求刑2年の実刑

間違えて盗んでしまった子供のパンツ

今回傍聴したのは、下着泥棒を辞められない被告の裁判。

前科3犯の被告で、なんと14年前に下着泥棒を行った同じ家で再度の犯行をしている。

下着を盗りたいと近所をウロウロしていたところ、14年前に盗んだ家の前を通り、以前も成功したし、ここなら盗れそうと干してあったパンツを盗んだ。

被告は軽度の知的傷害があり、安直な行動に出てしまうことや、大人の女性のものと思って盗ったが、実際は子供のパンツというおちだったが、被害者からしたら、14年越し・親子を狙われたことになるので、感じた恐怖は計り知れない。

 

一言で言えば軽度の知的障害がある被告が下着泥棒がやめられない話なのだが、この被告の周りには彼を何とか更生させようと尽力している障害者支援センターの職員達が複数ついていた。

その一人が情状証人になり、彼の更生を手助けする旨の証言を行ったのだが、プロということもあるのか、その職員の人間性なのか、困っている人に対してこのように一生懸命地域に対して働いてくださっている人がいることを誇りにすら思えた。本当に感謝したい。

 

その支援センターの職員の証言から、被告は経験の幅も少なく、興味の幅が狭く、余暇も少ない。その為、時間を持て余してしまい下着を盗りたい!となってしまう。

これからは、どう生きたいかどのようなことをしたいか本人の意思をよく聞きながら(主訴というそうだ)本人の関心の幅を広げていき、何か困ったことがあったら職員などに相談し、うまくいったなど成功体験を積み重ねて自己肯定感を高め更生に尽力したいといった内容だった。

 

自分が何をしたいのか、人生をどう生きたいかと悩む人は多い。今回の証言で、それを見つけることは難しいということを改めて認識したし、その悩みの糸口は「自分の関心の幅を広げていくこと」であることを職員の証言から学んだ。

 

当公判は結審したが、求刑は2年の実刑

 

被告人から聞く犯行の理由から分かる人間の本質

裁判では犯行を認めていれば、今後更生するために

犯行の原因と対策をどうするかという話に及ぶ。

 

例えば、わいせつ事件の被告人質問の例。

検察官:なぜ今回このような事件を起こしてしまったのですか?

被告人:仕事で嫌なことが重なり、ストレスが溜まっていて・・・

    お酒もちょっと入っていることもあり・・・

 

検察官:ストレスは誰でも溜まるものですよね。

    世間の人が皆ストレス溜まったからといってこのような

    事件を起こしているわけではありませんよね。

被告人:・・・はい・・・

 

検察官:では、なぜ今回このような事件を起こしてしまったと自身では考えますか?

被告人:・・・自分の弱さだと思います・・・

 

正直、このやり取りは事件の内容関わらず質問と答えがテンプレートかと思うくらい繰り広げられる展開なのだ。

 

ただ「ストレス溜まったからって言い訳にならないよね」という感想は浅すぎると思うのだ。

 

本来人間は自分勝手な欲望がベースにあり(この場合は女性にわいせつな事をしてみたいという欲望、そして相手の女性の気持ちはどうなのかということには考えが及ばない)社会圧、損得勘定、相手を思う想像力、客観的な視点でその欲望を行うか行わないか制御していると考えるとこのやりとりに納得がいく。

 

自分勝手な欲望を制御している社会圧、損得勘定、相手を思う想像力、客観的な視点の力が、弱まった時やなくなる時はどういう時かと考えるとストレスが高まった時であるのは容易に想像がつく。

 

ストレスが溜まると普段制御している力が弱まり、本来の悪い自分が全面に出てくるということだ。

 

これほどまでに同じやり取りが展開されるということは人間の本質はここにあるのではないかと気付かされる。これは誰にでもあてはまることだ。

 

本来の自分とは何か。どのような嗜好があり、どのような誘惑に弱いのか、何が出来て何が苦手なのか・・・。そして何が自分を制御しているのかなど、自分を深く掘り下げていくと自分の苦悩も少し輪郭がくっきりしてきて楽になれないだろうか。

 

裁判は人生の色々なことについて教えてくれると思う。