今回傍聴したのは、下着泥棒を辞められない被告の裁判。
前科3犯の被告で、なんと14年前に下着泥棒を行った同じ家で再度の犯行をしている。
下着を盗りたいと近所をウロウロしていたところ、14年前に盗んだ家の前を通り、以前も成功したし、ここなら盗れそうと干してあったパンツを盗んだ。
被告は軽度の知的傷害があり、安直な行動に出てしまうことや、大人の女性のものと思って盗ったが、実際は子供のパンツというおちだったが、被害者からしたら、14年越し・親子を狙われたことになるので、感じた恐怖は計り知れない。
一言で言えば軽度の知的障害がある被告が下着泥棒がやめられない話なのだが、この被告の周りには彼を何とか更生させようと尽力している障害者支援センターの職員達が複数ついていた。
その一人が情状証人になり、彼の更生を手助けする旨の証言を行ったのだが、プロということもあるのか、その職員の人間性なのか、困っている人に対してこのように一生懸命地域に対して働いてくださっている人がいることを誇りにすら思えた。本当に感謝したい。
その支援センターの職員の証言から、被告は経験の幅も少なく、興味の幅が狭く、余暇も少ない。その為、時間を持て余してしまい下着を盗りたい!となってしまう。
これからは、どう生きたいかどのようなことをしたいか本人の意思をよく聞きながら(主訴というそうだ)本人の関心の幅を広げていき、何か困ったことがあったら職員などに相談し、うまくいったなど成功体験を積み重ねて自己肯定感を高め更生に尽力したいといった内容だった。
自分が何をしたいのか、人生をどう生きたいかと悩む人は多い。今回の証言で、それを見つけることは難しいということを改めて認識したし、その悩みの糸口は「自分の関心の幅を広げていくこと」であることを職員の証言から学んだ。
当公判は結審したが、求刑は2年の実刑。