裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

犯罪被害者、その家族について想いをはせること

全国犯罪被害者の会あすの会」が今年の6月に解散する。

2000年に犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立を目指して設立されたのだが、一定の目標が達成されたこと、会員の高齢化などの理由で解散が決まったそうだ。

 

今、私達はマスコミの影響もあると思うが、事件のニュースを見聞きすると許せない!と自然に犯人への憤りが沸いてきたり、もし被害者が自分の身内だったらなど心が痛くなったり自然とそのような心境になっている人が多いと思う。

 

家族を殺人事件で亡くした被害者家族が被告に対して死刑を望むのは当然と思っていたのだが、全国犯罪被害者の会あすの会」が発足される前は被害者家族といえど、そのようなことをマスコミに対してハッキリ言える社会ではなかったそうだ。

死刑廃止論者が加害者といえど人権があると、死刑を論じることに対してすらネガティブだからだ。

山口県光市母子殺害事件の被害者家族の本村さんがマスコミの前で極刑を求めたのは多くの人の心を動かし社会を変えた。

 

私達が、殺人事件の被害者関係者が加害者に極刑を求めるのは当然と思う共通認識もあすの会の活動のたまものなのだということすら気付かなかった。被害者参加人制度の設立など辛い立場の被害者家族がようやく勝ち取った権利であることをあすの会解散後も忘れてはいけない。

 

座間市の9人殺人事件は、被害者氏名の公開で物議をよんでいる。今は、国民皆が意見を言いやすい環境になっているため、あすの会解散後も報道の在り方、現状がおかしいと違和感を感じることについてはこれからも変わっていくと思う。

 

 

 

 

裁判員裁判が開かれる日程の情報

傍聴について、よく聞かれる質問の一つに

「インターネットでいつどんな裁判が開かれるか載っているの?」

というものがある。

 

答えは一部を除く裁判員裁判の情報なら裁判所のホームページで

見ることが出来る。一部というのは性犯罪など被害者の情報を明らかにしない配慮をされている裁判はホームページにも載っていない。

 

何月何日、何時から、どの法廷で、どの罪名の裁判が開かれるかの情報なので、被告名は載っていない。ただ自分が住んでいる地域に少し前に起きた事件ということであれば、あの事件かと推測できることもあるし、見てみるまで分からないこともある。

傍聴してみると大きな事件だったということもあるのだが、同じ地域に住んでいてその事件を知らなかったことに驚くこともある。

 

▼各地の裁判所の裁判員裁判の開廷期日はこちらで確認可能

裁判所|各地の裁判所(ご自身の地域を選択し、右メニューの"県内の裁判員制度関連情報"→開廷期日情報で確認可能です)

 

ちなみに以下名古屋の裁判所で見ると、

裁判所|名古屋地方裁判所本庁の裁判員裁判開廷期日情報

4月の裁判員裁判はなく、5月に1件しか予定されていないようだ。

しかもこんな長い罪名。

 

大麻取締法違反,覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反,覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反),国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反(事件番号 平成29年(わ)第1729号等)

 

この情報から、被告はおそらく外国人、中部国際空港で捕まったのではないかと思う。被告が外国人の場合、通訳が入るので、日本語より傍聴から伝わるものが少ないのと、関係者の証言がほとんどなく、家族が上場証人になるということもほとんどないので、事件の背景がどうしても見えにくい。

 

また5月になったら情報が更新されるはず。毎月初旬には裁判員裁判の日程をチェックしているのでまた情報をUPしていきたい。

裁判官の人事異動の時期

開かれる裁判が極端に少なくなる時期がある。

 

人事異動がある時期4月前半は、開かれる裁判の数がかなり少ない。その関係で、3月末までに判決を出してしまおうということだと思うが3月末は判決が多くなる。

 

その他、お盆の時期も裁判官が交代で休暇をとるため、裁判の数が少なくなる。

 

初めて傍聴してみようと思っている人は、3月末~4月の初旬、7月下旬~8月は避けた方が無難である。

 

傍聴人の顔ぶれと傍聴の意義

裁判の傍聴は誰でも出来るがどんな人が多いか。

 

まず、裁判は平日の10時位~16時位で昼休憩は12時位~13時位。

普通に土日休みで仕事をしている人は、まず傍聴出来ないのだ。

 

傍聴常連の顔ぶれは、ほぼリタイアしたおじいさん。家にいても奥さんに迷惑がられるし、かといって毎日どこかに出かけるにもお金がかかる。

さしてやりたい事もなく、時間をどうつぶそうかと思っている中で出会ったのが傍聴といったケースが多い。

 

リタイアしたおじいさんと傍聴は相性がよいのである。

しかも地域によるが、敬老パスが支給されるので、交通費も余分にかからない。同じような仲間もいるので、雑談したければ話し相手もいるし、話題には事欠かない。

 

私はリタイア世代ではないので、リタイア組のおじいさんほどじっくり傍聴出来ないのだが、しょっちゅう傍聴しているおじいさんに、傍聴出来なかった裁判の内容について聞いたり、意見を聞いてみることもある。

 

だが、暇つぶしで傍聴しているリタイア組おじいさんの大半は、ほとんど内容を覚えていない!

もちろん、裁判の内容についての意見も特になかったり、ただの被告人の悪口だったり・・・。

 

事件の関係者でないのに、傍聴している私も、関係者からしたら歓迎される存在ではない。
ただ、せめて事件について深く考えたり、自分とは異なる境遇の人いるとか、自分だけの世界では想いを馳せることが出来ない部分について事件について関心を持つということは、ほんの少しは社会の一員として意味はあることだと思っている。

 

多様化が進んでいる社会で、自分とは違う人のことを知って深く考えることを皆が出来れば、ギスギスした社会も少しだけ穏やかになるのではないか。そういう意味では傍聴も意義があるともいえる。

認知症の症状としての性犯罪

性犯罪は、メディアでは規制により、取り上げられる機会が少ないため、
どんな事件が起きているのか、性犯罪の実態や加害者がどのような人物なのか、など私達が目に触れることが少ない。

裁判傍聴を何度かして、一番驚いたことが性犯罪がこんなに起きているんだということ。
そして、こんなに起きているにも関わらず、一般市民にはその情報がおりてこない。

 

裁判を傍聴する中で、いつも「なぜこんな事件が起きたのか」「どうしたら防げたのか」と考えるが、その中で、性犯罪については自分の中で答えが出ないことが多い。

 

今回傍聴した裁判も、その答えが出ない中の一つだった。

 

被告人の今の風貌は長髪に口ひげを生やし、キョロキョロしたり、法廷内の机にひじをついて退屈そうなそぶりを見せたりと、正常とはいえない状態で公判廷が続いた。

本日は母親の情状証人での尋問。


目の前にいる被告からは想像が出来ないが、幼少の頃は運動も勉強も優秀、生徒会の副会長を務めたり、友達も多く活発な性格だったそうだ。
この地域で最も優秀な国立大学まで通い、被告人の弟も別の国立大学院卒のきっとまわりから見たら誰もが羨む家族に見えたと思う。
情状証人を行った母親もきっと自慢の息子だったに違いない。


その息子が大学4年生を境に、徐々に行動に異変が出てきた。
イライラする様子が頻繁におきたり、今まで気にしていた身なりも急に無頓着に・・・。
そして、ふさぎこむような日々が続いた。

大学院の試験の日も家を出たまま、試験を受けずに帰ったり、就職試験もうまくいかなかった。
日に日に部屋に引きこもり、部屋のベッドで過ごすようになった。

 

その後、少し調子が戻ったのか突然出かけたり、就職活動をするといって東京に少し住んだりと行動を起こすようになったが、ある時車で出かけて自損事故を起こし、検査入院。

その頃から顔つきが変化し、別人のように。時を同じくして急に女性に異常な興味を示すようになった。
たびたび失禁をしてしまうことがあったが、最初は戸惑う様子もあったが徐々に失禁しても特に気にするようなそぶりもなくなっていった。

 

そんな中で、白昼街中で女性に抱きついたり、わいせつな行為を行う、
窃盗や器物損害、居酒屋の店員を殴るなど、度重なる犯罪を起こしてしまった。
また、お金も持たずに車でふらっと出ていってしまったり、無賃乗車をして鉄道会社から連絡が入ることがたびたび起こっていた。


一つ一つの事件が起きる度に、母親は色々な施設に連れていったり精神病院に連れて行くが、本人は嫌がっているし、原因も分からないといった日々が続く。

今回、度重なる犯罪でついに起訴された中、2度の精神鑑定でようやく「前頭側頭型認知症」であると診断された。
この病気の症状の一つとして、社会のルールが分からなくなり軽犯罪を起こしやすくなる、失禁をしてしまうといったことがあるようで、被告の行動とも一致する。


「やっと原因が分かった。病気だったんだ」


たびたび遠くにふらっと無賃乗車で出かけて鉄道会社から連絡が入ったり、犯罪を起こしたり、昔は活発で明朗だった息子が今目の前でふさぎ込むなど、理解できない行動をしている。
被害にあった人には、そんなことは関係ないけれど、原因も分からず対策も出来ない中で見えた診断名は、一筋の光だったに違いない。


「前頭側頭型認知症」は難病で、寿命もそれほど長くない病気だそうだ。母親も乳がんを患っていて再発の恐れもあるので、息子と一緒にいられるのはそれほど長くないことを認識しながら、本人と一生懸命生きていきたいと言っていた母親の言葉が印象的だった。

 

この病気は診断が難しく、病気の発見が遅れがちになるそうだ。
まだ20代の息子とその母親。なんとか周りの協力も得てこの後の人生を穏やかに過ごしてほしい。

性犯罪被害者の年齢

性犯罪事件の被害者について、被害者特定事項の秘匿といって被害者の氏名等特定出来てしまう事項については公開しない措置が通常とられる。

 

そんな中、なぜか被害者の年齢はだいたい分かることが多い。多くは10代、20代の被害者だが、過去に50代、60代の女性性犯罪被害者の裁判を傍聴したことがある。

年齢関係なく、どの被害者も心身共に相当な負担を強いられることとは思うが、5-60代の女性が「強姦された」など被害を届けに行き、事情聴取から様々な対応を受けなければないことを考えると、若い被害者とは別に更なる屈辱を味わっているのではないかと想像できる。

 

取り調べの中で具体的な言葉をかけらることはまずないにしても「え?その年齢で?」という冷ややかな対応や雰囲気を感じたのではないか。

 

実際傍聴マニアは高齢男性が多いのだが、性犯罪事件は見逃せないようだ。

傍聴人同士の会話で「被害者の年齢も開廷表に書いておいてほしい」と冗談を言い合ったりわいせつ事件の被害者女性の年齢が高いことについて「この年齢でわいせつ事件の被害者になったことは誇りに思っていい」など猥談をしているのを聞き、とても嫌な気分になった。

 

被害者は事件の時も、その後の取り調べや裁判で複数回事件に合うようなものだと言うけれど、年齢が高い性犯罪被害者の苦悩について少し思いをはせてみた。

大食い選手権出場者だった窃盗犯

前回、女性の犯罪についての記事で、女性の被告の罪名は覚せい剤取締法違反か、常習累犯窃盗(要は窃盗を何度も繰り返しているということ)だと書いた。

cocoronotomo.hatenablog.com

 

過食症で異常に食べてすべて吐くため、吐くための食べ物を買うのがもったいなくなり、万引きする。一度逮捕されても、また繰り返してしまうということらしい。

 

今回傍聴した被告も、前傍聴した常習累犯窃盗の女性被告も「吐くための食べ物を買うのがもったいないから」と言っていたのだが、いったいどれくらい食べるのだろう・・・。

 

今回傍聴した被告について傍聴後、調べていたところ以前TV番組の大食選手権で決勝まで残っていたフードファイターであることが分かった。

 

なるほど!見ている方が気持ち悪くなるほどの、あの大食い選手権のような食べ方をするのか!

当然、食費は追い付かない。それに大食い選手権に出ている人は正常ではないことに改めて気づいて、リミッターがはずれた人達の大食いを見せられていたんだと納得したような、釈然としないような気持ちになった。

 

テレビの大食い選手権の裏側では、食べたものを吐いている人もいるだろう。

テレビ東京「元祖!大食い王決定戦」の2018年の募集が打ち切りになったようだが、異常に食べることが、食べて吐く行為を助長し、場合によっては万引きという犯罪に繋がることもあるということがあり、異常に食べることを仰ぐ番組は最近の時代にそぐわないよねということになったのではないかと推測する。