裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

出会い系で出会った中年女性がストーカーへ豹変(量刑記録)

出会い系で出会ったアラフィフ同士中年男女。別れ話がもつれ女性がストーカーとなった事件。

 

【罪名】ストーカー行為等の規制等に関する法律

 

【判決】6月 執行猶予3年(求刑6月)

 

最初は週2位でデートし、合鍵も渡したり、お互いのスマホに位置情報が分かるアプリを入れていたくらい親密な付き合いだった。

ある時、男性が彼女の位置情報を確認したら、そこはラブホテル・・・。

 

そういったことからも別れ話になったがもつれ、女性がストーカーへと暴走。警察より口頭、その後書面で警告を受けたにも関わらず書面警告5時間後の事件。

 

ストーカー警告を書面で受けても、なぜすぐに被害者宅へ向かったのかという質問には、書面での警告は重要なものとの認識がなかったとの回答。

 

裁判長は、二人の問題に警察が介入するということはよっぽどの事なのだと被告をさとし、今後は一切かかわらないことを約束した。

 

ここで、ストーカー被害にあっている人が相談できる窓口が愛知県でもあるようなので、ここに記載しておく。もし悩んでいる人がいたら活用してほしい。 

愛知県警察本部では、女性警察官を含む、専従の警察官が対応する相談電話を開設しています。
・ストーカー被害に困っている、・どうしたらいいか判らない、・etc・・

ストーカーの問題で困ったときは相談電話をご利用下さい

052-961-0888 《ストーカー110番》

 

現在の一夫一婦制にかなり無理があると東大教授の先生も言っていた

 

 

離婚の裁判を傍聴するたびに、そもそも一夫一妻制に無理があるんじゃないの?そもそもの婚姻のルール自体をもう少し見直す必要があるんじゃないの?と思わざるをえない。

家に帰ればテレビでは、年がら年中芸能人の不倫や離婚の話が目に入ってきて、なんかみんな無理なことに対してエネルギーを使いすぎているように思う。

 

私は一夫多妻を賛成というわけではないし、日本が突然一夫多妻制OKに法律が変わるなんて考えられないけれど、もう少し結婚と離婚をスムーズに出来るようになれば、人の苦労と苦悩を随分減らせるのではないかと思う。

転職をスムーズにできるよう解雇と転職をしやすくと言われているのと似ていて、結婚についても、3組に1組離婚するといわれているのに、結婚がもう絶対的なもののようにイメージされるから、結婚に二の足を踏む人もいるし、結婚したらしたで、本当に辛いのに離婚をしないでいる人がどれだけいるだろう。

 

離婚の裁判を見るたびに、人はこれほど憎みあい、だまし合うものなんだと恐ろしくなるし、もう少し離婚がしやすければ、ここまでこじれる前に別れられると思う。

ルールに無理があるから人が不幸になっているともいえる。

 

そんなことを日々思っているところに、今日NHK又吉直樹のヘウレーカという番組を見た。生物学や神経科学の観点から記憶と恋愛メカニズムを研究している脳神経科学者の奥山輝大先生がゲスト。

 

その先生も、霊長類の一種として、人を動物として考えた場合、人にとって一夫一妻制は最適ではないと言っていた。

 

本来、一夫一妻制は環境が厳しいエクストリームな状況で出てくる婚姻形態。複数の異性の中から選ぶ場合は、選ぶ出会うコストがかかる。そんなことをする余裕がない砂漠とかだと最初から一夫一妻にして強いつがいを作った方が生き残りやすく、進化的にそちらの方が生き残った。

 

人間は、戦う相手も今はいないし、動物としては今は余裕がある。動物の本能としては無理している状態。

  

優れたオスの子供を残すことで種として残っていくほうが種としては安定する。人間が種としての繁栄ではなく個体としての幸せを選ぶシステムを作ったのが面白い。

 

やっぱり現在のルールは無理がある。これでは結婚している人もしていない人もみんなが不幸になる。

かといって一夫多妻にルールが変わるというのは現実的ではないので、まずは人々の「結婚したら上がり感」をなくすことと、離婚の話が出て別居していたら、他の異性と関係があっても問われないなど、みんなの意識と結婚生活の破たんのハードルをもう少し下げることからかなぁと思っている。

 

オーバーステイと在留カード偽造(量刑記録)

インドネシア人男性が、オーバーステイし、在留カード偽造した罪。

 

【罪名】

出入国管理及び難民認定法違反

 

【判決】

懲役2年、執行猶予4年

 

この判決で晴れて勾留の身から解放されたことになる。

被告に付き添う人物が、刑務官から出入国管理官?(制服も刑務官とは違う)にバトンタッチ。

被告も自分がこのあとどうなるのかよく分からず、キョロキョロしている間に、弁護士先生はさっさと退廷。

 

被告は通訳に何やら話しかける。

 

通訳:「弁護士の先生にお礼を言いたい」と言っています。

裁判長:もう帰られました・・・。

 

被告は残念そうにし、傍聴席にも一礼した。

きっと彼はもう日本に来ることがないと思うが、弁護士先生、最後に彼に一言声をかけてあげてほしかったな。

 

彼には私の心の中からエールを送った。

インドネシアに帰って頑張ってほしい。

後妻業の妻 筧千佐子にかかわってしまった男達の幸せとは

先日テレビで、後妻業の妻 筧千佐子の面会に何度も行き本を執筆したルポライターが出演していた。去年私も京都地裁まで傍聴しに行ったので思ったことを記録しておこうと思う。

 

まず、この事件は、起訴されたのが4名だが、それ以外にも殺めているようで(ルポライターさんが千佐子本人から面会の時に聞いたそう)、何人も人が死んでいるのに、どこか現実味がないのだ。

 

血も流れていないし、被害者は孤独で他人とのかかわりが少ない人であるため、「被害者の家族感」が表面に出てこないので、傍聴していてもどこか人間らしい生々しさが感じられないのだ。

 

殺されてしまった被害者が千佐子と良い仲になった時に数少ない関わりのある人物にもらした喜びの声、そして今回幸い被害者とならなかった千佐子と関係を持った男性が皆千佐子に夢中になっていた様子。

  

被害者は真面目につつましく生きている孤独な男性で、健康の為にジムに行ったり、月1回の通院は忘れることなく続け、かかわる人物もほとんどいないといった真面目でイメージ通りの孤独な高齢男性達。

 

随分前から独身で、普段の生活では女性とのかかわりもほぼなかっただろう。そんな真面目でつつましく生きていた被害者男性でも、寂しいとか最後にひと花咲かせたいという切ない願望は忘れていない。その願望に千佐子がするっと入り、願望をどんどんかなえていく。

 

千佐子にとって、歯の浮いたようなセリフや、婚姻届け、肉体関係は目標達成のためなら必要な手段の一つでありたいした意味はないのだ。

 

千佐子と過去交際関係にあったというひとりの男性が証言台に立った。その男性は入院中。見た目にも相当体が弱っているように見え、証言する為に外出許可をもらってきたそうだ。

 

その男性は誇らしげに千佐子と肉体関係があったと証言した。

 

この男性からや被害者から見えてきたもの、最後にひと花咲かせたいという人間の自然で切ない欲望を人質に千佐子は金を引き出そうとしたということだ。

 

高齢男性の寂しい気持ちを利用した犯罪というのはニュースを聞いただけで分かるが、その奥の男性の自然で切ない欲望をかいまみる事ができたのがとても感慨深かった。 

11月の名古屋地裁裁判員裁判

毎月1日に裁判員裁判の開廷期日の情報が更新される。

 名古屋地裁の2018年11月裁判員裁判の予定はこちら↓

 裁判所|名古屋地方裁判所本庁の裁判員裁判開廷期日情報

 

 

10/22~すでに始まっている裁判員裁判は、この事件で、11月に入ってからもまだ裁判員裁判が行われている。

客暴行死、元店員2人否認 差し戻し審初公判、名古屋: 日本経済新聞

 

その他11/7~始まる強盗殺人、死体遺棄裁判員裁判は、久しぶりに一番大きい法廷2号法廷で行われるが、どの事件なのかまだ分からない。

2号法廷で行われるのである程度大きな事件だと思うが、今のところ傍聴券配布情報にも載っていないのでそこまで満席にならない程度の事件だろう。

 

今月も傍聴から色々学びたいと思う。

被告の心の中をどう暴くかは検事の腕の見せどころ

裁判では、被告がいつから犯行を考えていたかを証明することは大きなポイントである。

 

例えば、

 

殺人なら前から殺そうと思っていたのか、とっさに殺してしまったのか、

性犯罪なら前からたくらんでいたのか、とっさに犯してしまったのか、

 

など。

 

これは、犯行を考えついた時から実際の犯行時までに時間があればあるほど、考え直す機会もあるし、道具を用意したり計画を練ったりと犯行の準備を入念にすることにつながり、罪を起こそうとする意思が強いと判断されるからだ。

 

いつから考えていたかというのは、被告の心の中の問題、被告自身は自分が「この時点から考えていた」や「とっさに犯してしまった」と言えばそれが通ると思ってしまう。

 

ただ、被告がいつからと言ったから(通常は罪が軽く判断されるよう「突発的な犯行」であることを主張する)そのまま通るはずもなく、被告の心の中に起きた出来事を検事が暴いていくというところが裁判の見どころでもある。

 

例えば、隣の家に住んでいる以前から交流がある被害者にわいせつ行為をした裁判ではこのような感じ。

 

玄関先で被害者と立ち話をして被害者宅に招き入れられ、会話をしている時に口論になった。その後殴り気絶した被害者の服を脱がせてわいせつ行為をした事を、被告は突発的で最初はそのつもりはなかったと証言。

 

検事:被害者宅に招き入れられてすぐ被害者に抱きつきましたよね?

被告:・・・はい。

 

検事:なぜ抱きついたんですか?

被告:前にそういう事(抱きついた事)があったから、思い出して・・・。

 

検事:では、最初から性的な事をしたいという気持ちがあったということじゃないですか?

被告:(30秒ほど沈黙)・・・・多少は・・・ありました。

 

このような感じで最初からわいせつ行為をしたい意思を持っていたを暴いていく。

前述のように分かりやすいのではなく、しれっと事実の質疑応答をして暴くパターンもある。いつも護身用におもちゃの手錠を用意していたと主張する被告に対し、

 

検事:手錠は皮ケースに入っていたのですか?出ていたのですか?

被告:出ていました。

検事:出していたのですね。

 

これは事実を確認する軽い質問のように聞こえるが、「わいせつ行為をしやすくする為の手錠を事前に用意し携帯し、しかもすぐに取り出せるようにケースから出していたこと」を証明する質疑応答なのだ。

 

検事が導き出したい答えから質問が作られている。その質疑応答は検事の腕の見せ所であり、質問の意図を深く考えるとさらに理解が深まる。

 

名古屋刑務所のイベント、みよし矯正展のレポート②

名古屋刑務所のイベント、みよし矯正展のレポート①

の続き。

 

屋台では普通のお祭りと同じように焼きそば、イカ焼き、そしてココイチなんかもあったが、せっかくなので昼食は500円で受刑者食事体験をしてみた。

 

メニューは名古屋らしくみそがついたカツがメイン、825Kcal

 

写真左上のほうれんそうのお浸しみたいなのは解凍しきれておらずシャリシャリで水っぽかったが、それ以外については味噌汁も具がたっぷりで、十分満足できる食事だった。刑務所の食事は味が薄いとかくさい飯とか言われるけれど、むしろ裁判所のランチよりおいしいと思ってしまった(名古屋裁判所の食堂関係者、ごめんなさい・・・)

 

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昼食後は、刑務所内施設見学。

刑務所内は写真NGの為、頭に記憶させておくのみになってしまうが、作業場、風呂場、講堂が見学出来た。

塀には有刺鉄線が続いているので、「あぁ、ここは刑務所なんだ」と思わせる。ただ、作業場は昭和の工場という感じでかなり古いが今でも古い町工場はこんな感じのところもあると思う。

 

見学した風呂場は50人収容。(洗い場に1-50番まで番号が振ってあった。そして隣との幅がものすごく狭い)

 

刑務官から直接色々な話が聞けた。

風呂は15分間、かけ湯の杯数も決まっている(10杯迄だったかな)、風呂場に大きなタイマーが表示があり各自が15分以内で時間配分すること、そして驚いたのが、湯船につかる時は全員前を向かなければならないという事。湯船の中でのトラブル防止の為だそう。

 

50人が(私語禁止なので)無言で同じ方向を向いて風呂に入る絵は娑婆ではありえない・・・。

 

刑務所内では頻繁にトラブルがおこるようで、他の建物にいる刑務官が応援に駆けつけるために敷地内の緊急車両として赤い自転車というのがあるそうだ。

 

刑務官も受刑者の前ではなかなか笑顔で会話するというわけにもいかないだろうから、矯正展での市民とのちょっとした会話は大切にしているのかも知れない。

 

刑務官の話を直接聞けたのは貴重だった。対応いただいた刑務官、ありがとうございました。