裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

強姦の被告の中でもイケメンの方がクズ

わいせつ事件の被告に意外とイケメンの被告がいることがある。

 

今回傍聴した強姦事件の被告は、肌も綺麗でまつげもクルンとカール、ホスト風でいわゆるイケメン。入廷の際、ついている腰縄が端正な顔立ちに相当違和感があった。

 

強姦の被告人がモテないお世辞にも端正な顔立ちとは言えない容姿・・・というのは私も含め世間一般の勝手なイメージなんだろう。

 

今回の被告は別件で逮捕された際、8年前の強姦事件とDNA型が一致したことから発覚。今日は被害者女性の証人尋問だった。

 

被害者は帰宅時、自宅マンションの郵便ポストで郵便物を取り出しているところ、被告に「すみません」と声をかけられ、強引に階段の踊り場まで連れていかれ、むりやりキス、口淫、性交させられたという内容。

女性は、抵抗したものの、怖くてされるがままだった。

 

女性は事件後、仕事も続けることが出来なくなり、事件現場となった自宅マンションはすぐにでも引越ししたかったが、金銭的な余裕もなく、しばらくは住み続けざるをえなかった。

その後引越ししたが、トラウマで当時交際していた男性とも性交渉が出来なくなり、自分から別れを切り出したそうだ。8年前の出来事だが、その後の人生を大きく狂わす事件であり、涙ながらに事件の詳細を証言した。

 

自宅マンションに帰る、ポストの郵便物を取り出す・・・全く特別な行為ではなく、誰もが日常行う事。被害者からしたら、見ず知らずの被告人のエゴだけがいきなり入ってきて、人生を破壊されたも同然だ。

 

被告人は事件後も事件の事すら忘れているほどに平然と日常生活を送り、さらにまた同様の事件を繰り返している。

 

今回の被告は、まだ若く容姿が整っていることもあり、女性と正当な工程を経て肉体関係を持つことはそれほど難しいことでもないはず。

その工程すらすっとばして、この瞬間で自分の性欲だけを満たせればよいと考える時点で、モテないクンの暴走よりもっと悪なような気がする。

 

でも、前に千葉大医学生集団強姦事件というのがあったが、医大生ということもあり、彼らも女性との肉体関係を持つのにそれ程苦労しなかった過去があるのだろう。

ある程度モテる容姿の男がクズな性格だと、「女性をその気にさせるなんてカンタン」などと思いあがり、肉体関係へ持ち込む工程まで面倒になり歪んだ認知で強姦を起こしてしまうのかもしれない。

よって、強姦の罪でのイケメン被告は同種の犯罪でもクズという私の中での法則が出来た。 

 

長崎地裁訪問

旅行の合間にその土地の裁判所を傍聴してみると、それぞれの裁判所の違いを発見したり偶然、知っている裁判官を偶然見かけたりする新鮮さがある。

 

先日長崎旅行に旅行に行き、せっかくなので長崎地裁を訪ねてみた。

長崎が想像していたより都会だったので裁判の数ももう少しはあると思ったが、なんとその日は刑事がゼロ、民事を傍聴してみたが、一瞬で終わる公判が2件という残念な結果だった。

 

長崎地裁売店は田舎の駅の売店くらい小さく、売店の店員は暇すぎて時間が過ぎるのが遅いのではないかと思った。

 

せっかく長崎地裁訪問したが何も語れることがなく残念だったが、それだけ長崎は平和な場所なんだろう。ホテルや観光した場所でも長崎の方は全体的に親切で優しい、ギスギスしていないという印象。傷害事件など、日常のイライラが直結するので、皆の心に余裕があることは何より素晴らしいことだと思う。

 

長崎地方裁判所 アクセス

http://www.courts.go.jp/nagasaki/vcms_lf/300109.pdf

真実は他人が決める

世間で日大のアメフト部の悪質タックル問題がまだまだ世間を騒がしているが、内田前監督と井上コーチの会見と裁判での光景は重なる部分がある。

 

例えば殺人事件で争点になるのが殺意があったかどうか。

 

「殺意」というのは被告の心の中の事象で実態がない。

起こしてしまった被害は認めるし反省しているけど、「殺意はなかった」とか「死ぬとまでは思っていなかった」など殺意はなかったことをアピールするのはよくあることだ。

 

被告に殺意があったとしても被告の論理からいくと「そんなの証明しようがないし、そもそも自分自身のことなのに、自分が殺意がないと言えばないだろう」と思ってしまう。

 

この事象をアメフトタックル問題に置き換えると、内田前監督は相手チーム選手にケガを負わせるつもりだったことを証明しようがないと思っているし、自分が相手チーム選手にケガを負わせるよう具体的な言葉は使っていないので当然意図的ではないという主張は通るだろうと思っているのだろう。

 

ただ、実際の裁判では状況証拠、客観的事実から被告の心の中がどうだったかを他人が認定する。

 

被告からしたら自分の心の中なのに他人に認定されるのは納得がいかないだろうが、問題の争点が心の中のことであると、「真実」は他人が決めるということになる。自分の気持ちも自分のものではない場合があるのだ。

 

裁判員裁判の日程情報更新

毎月1日(1日が土日祝の場合は最初の平日)に裁判員裁判の日程情報が更新される。

 

裁判官の異動も落ち着き、もう少し多いかと思ったが、名古屋地裁の6月の裁判員裁判は2件のみ。

名古屋地方裁判所本庁の裁判員裁判開廷期日情報
http://www.courts.go.jp/nagoya/saibanin/kaiteikijitsuhontyou/index.html

 

東京地裁は13件、大阪地裁は6件。

 

わいせつ関連の事件はホームページに載らないので実際に裁判所に行ってみないと開催期日が分からない。

 


■東京地方裁判所本庁の裁判員裁判開廷期日情報
http://www.courts.go.jp/tokyo/saibanin/kaiteikijitsu/index.html

 

大阪地方裁判所本庁の裁判員裁判開廷期日情報
http://www.courts.go.jp/osaka/saibanin/kaiteikijitsu/index.html

空き缶集めのホームレスに思うこと

空き缶集めのホームレスは、ある程度の規模の都市にはどこにでもいるだろう。

 

空き缶を色々なところから集めて、つぶして、どこかで拾った袋に入れて、自転車に載せて・・・その先は知らないけど多分空き缶を買い取ってくれるところに行くんだろう。

 

空き缶以外にも、何か使えそうなものがあったら、収集し、いつの間にか持ち物はものすごくいっぱいになっている。

 

あれ?

気付いてしまったのだが、ホームレスの人がやっていることって刑法にふれることが沢山ある。

自転車はどう考えても自分で買ったものではないだろうから自転車の窃盗、ゴミは捨ててあるものを拾ったのはまあよいとして、マンションのゴミステーションに入って空き缶を収集すれば不法侵入だし、夜ビルの屋根下で寝ているのも不法侵入だろう。

 

自転車に乗っているアジアや中東系の青年に対して防犯登録の確認や身分の確認をしているのはしょっちゅう見かけるが、ホームレスのじいさんに職質や自転車の確認をしている警察官を見たことがない。

 

窃盗の自転車に乗っている可能性が非常に高いのに、なぜ警察はスルーするのだろう。ホームレスの何かの条件が(住所不定とか?身分がその場で証明できないとか?)警察官自身の実績にならないなどやっても意味がない理由があるのだろうか。

 

もしそうだとしたら、分かっちゃいるけどやっぱり世の中不平等だよなと思う。

痴漢の量刑記録

被告男性は46歳、無職、離婚歴有、被害者女性は30歳。

名古屋地下鉄伏見~名古屋駅間での痴漢。

被告のズボンのチャックを開けた状態で被告の陰茎を女性の臀部におしつける行為。

被害女性と同乗していた友人の女性が目撃し駅員に伝え、被告が逃走した為追いかけ逮捕に至った。

 

調書から、被告のあけすけな告白がうかがえた。

「おしりのラインがはっきりした女性を探して実行。見知らぬ女性にバックをしている疑似体験をしたかった。日常生活にひそむエロが好き」

日常生活にひそむエロという表現がなかなか秀逸と思ってしまったが、そのような嗜好を持つのは勝手だが周りに迷惑をかけず自己完結してほしい。

 

前科3犯、2度実刑を受けているが、裁判長からの「服役はつらくなかったんですか?」の質問に「短かったしそれほどでも・・・」と服役もそれほどこたえていなかった様子。

 

痴漢常習者に「また次もやる」と思わなかったことが一度もない。

 

【罪名】

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

 

【求刑】

6月の実刑

 

 

刑務所専門求人誌

傍聴を始めて驚いたことの一つに、被告の雇用先の社長が時々情状証人として証言することがあることだ。

私の肌感覚で正確ではないが、被告の半分以上は無職、拘留中に解雇や退職になってしまったケースを入れると7.8割は無職ではないかと思う。

社長が情状証人をするということは、少なくとも雇用面で社会復帰後の世話をするということだ。
自宅に住まわせて私生活面でも面倒を見ると証言する社長も見たことがある。
社会復帰には経済面での自立が不可欠だが、被告の多くは無職、そして再犯者が
多いことからも、社会復帰がうまく出来ず負のループになっていることは明白だ。

罪を犯してしまった被告の面倒を見るという社長を見て、たまにお人よしすぎるのではないかと思ってしまうこともあるのだが、なかなか普通の人には出来ないことだと頭が下がる思い。

そこで切り捨てるのは簡単だが、もう一度信じてみようという心意気に被告もしっかりと答えてほしいと思う。

再犯を繰り返す被告など、社会復帰の難しさを目の当たりにしているが、先日「Chance!!」という日本初の刑務所専門求人誌が今年創刊されたことを知った。
www.human-comedy.com



日常では、人々が世におこっている事件を見聞きし、懲役何年という罰がどれくらいになったかというところで
マスコミも人々の意識もそこで終わっている。

本当に大事なのはその後の社会復帰。
今回の刑務所専門求人誌の創刊は人材不足の流れもあるだろうが、再犯という負のループが少しでも早く止まるとよいと思う。