裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

薬物犯罪を含めた依存症問題に司法は消極的

先日名古屋地裁で判決を受けたばかりの元KAT-TUN田中聖氏が、再度覚せい剤所持の疑いで逮捕された。

 

ああまたかというのが一般的な感想だと思うが、覚せい剤を含めた薬物・ちかん・窃盗は再犯が目立つ犯罪だ。それらの裁判を傍聴すると、再犯であることの方が多く、法廷では以下のようなやり取りがあちこちの法廷で展開されている。

 

【初犯時の裁判】

被告:「もう二度としません」と制約する。

情状証人で証言した親:「厳しく監督します」と制約する。

 

【再犯時の裁判】

「前回の裁判の時にもう二度としないと約束しませんでしたか?」と尋問されるが、

被告:「いや、今度こそしません」

 

「親御さんも前回監督すると約束しませんでしたか?」と尋問されるが

情状証人で証言した親:「今度は大丈夫です」(何が大丈夫なのか・・・)

 

【3回目の裁判】

「1回目の裁判でも2回目の裁判でももう二度としないと約束しませんでしたか?」と尋問され、

被告:「今回は依存症の病院に行くことにしました」

 

病院の予約したことをアピール材料にすることもあるが、予約が取りにくいのか実際に通院する日は裁判の日よりずいぶん先の日。

 

・・・・こんな様子である。

 

 

覚せい剤を含めた薬物・ちかん・窃盗は初回の犯行では捕まりにくい犯罪だと思う。裁判では被告も当然言及しないが、すでに初犯として裁判が行われている段階で複数回犯行しており、すでに依存症である可能性も高い。

 

訴因(そいん:起訴状に記載された犯罪事実)ではない、過去にしたかもしれない犯罪について裁判所で取り扱うことが出来ないのは分かる。

 

ただ、令和2年の犯罪白書でも覚せい剤再犯は66.9%と高確率で再犯となることは明白だ。

 

「初犯だから自分の意思で今後はしないように気を付けてね」というスタンスは、司法が依存症を何とか早い段階で改善させ、再犯を防ごうとする意気込みが感じられない。

 

初犯からせめて依存症の病院に通う意思があることを確認するなど、自分の意思で辞められない犯罪だと被告に認識してもらうよう必要があると思う。

 

そして最後に全国の依存症医療機関についての情報。東京でさえ病院が10軒に満たない。地方在住であれば、地理的に通院すら難しいのが現状だ。

www.ncasa-japan.jp