裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

同じ転職でも表現方法で意図的に印象操作する検察官

裁判では、初公判で起訴状の読み上げのあと冒頭陳述で、被告人の身上経歴について簡単に述べられる。

 

よくあるのが「〇〇高校を中退し、△△業に就職するもその後、職を転々とし犯行時は無職」などというほぼテンプレートの身上経歴だ。

 

私はこの表現にずっと違和感を持っている。

 

「職を転々とする」は、複数回転職経験があることが「悪」である前提の表現ではないか。

 

身上経歴は、その被告人の経歴の事実をそのまま列挙するところであって、、例えば「就職してから逮捕時まで10年間に3回転職をし」と事実を数字で表現すればよいはずである。

 

ここを転職を何度もすることは悪であることが前提のように「職を転々とし」とテンプレートのように使用する検察官。

 

検察官は、まず転職をしないだろうから、転職は良くないイメージを持っているのだろうけれど、そのわりには、証人が医者であればその医者の経歴を「様々な病院で経験を積まれた経験豊富な先生」と説明する。

 

同じ転職でも、被告人の転職は「辛抱がきかない人」、証人の医者であれば「経験を積んでいらっしゃる」と表現を付け加えて印象操作をしているのが検察官。

 

確かに傾向として、多くの被告人は、辛抱が足りなかったり、周りの社員とうまくコミュニケーションがとれなかったり、仕事が合わなかったりして長く同じ会社に勤めることが難しい。

 

ただ、被告人にだけ「職を転々として」という表現で事実のみでなく印象操作をしているのが当たり前に行われていることは、辛い仕事から逃げられず苦しんでいる人を増やしている原因の一つだと思う。