裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

性犯罪被害者が低年齢化している問題

裁判傍聴して最初に驚き、これからも増々被害が深刻化していく問題の一つとして、性犯罪の被害者の低年齢化がある。

 

登下校中を狙って面識のない小学生が被害者になってしまうパターンもあるが、もっと深刻なのは知っている大人(親、兄弟、先生、学校関係職員、学童職員等々・・・)が加害者になっているパターン。

 

知っている大人だからこそ、最初は何をされているかもよく分からず、「何かいけないこと、気持ち悪いこと」をされ不快感や恐怖を感じるのだが、加害者に口止めされる。

 

被害者と日常生活で継続的に会う関係の為、何度も行為が繰り返され、被害者の体の成長と共に行為もエスカレートしていく。

 

例えば、最初は服の上から触る程度が、だんだん直接触るようになり、被害者は何をされているかも理解しないまま性交をさせられている・・・。

 

検察官が読み上げる被害者女児の「おとうさんが、私のおしりの穴におちんちんを入れて、おしっこをしました」という供述調書を聞いた時には、胸がはりさけそうになった。

 

もちろん「おしっこ」というのは射精のこと。 小学生低学年の子供が自分が何をされているのか、何が起こっているのか理解もできないのは当然だ。

 

具体的な解決方法など全く思いつかず心を痛めているだけの私だったが、助産師・ナースで小中学校・高校で性と命に関する講演をしている女性がいることを知った。

 

彼女の名前は大貫詩織さん。

 

「子供たちが"知らなかったから"という理由で傷つくことがないように正しい知識を伝え、困った時に相談できるスキルを身につけられるように話している」

 

大貫さんの話によると、世界基準では性教育は5歳から。そして、最初は体の部位の名称を正確に教える。

性被害にあってしまった時に名称も分からなければ被害を人に伝えることも出来ないし、知識がなければ自分が性被害にあっていることすら分からず、大人になってから気付き、トラウマを背負う人も多くいるそう。

 

まさに、先日私が傍聴した「おとうさんがおしりのあなにおしっこをした」という供述は5歳から国際基準の性教育を受けていれば、顛末が少しは変わっていたかもしれない。

 

性犯罪の裁判は、被害者特定事項の秘匿事項(被害者氏名住所等、被害者が特定できる事項を傍聴人に公開しないこと)となり、基本ニュースにならないし、加害者が身内だと必然的に被害者も分かってしまうため、加害者の名前すら開廷表に表示されないケースもある。

 

性犯罪はそもそも裁判になるケースが氷山の一角だし、その裁判も秘匿事項の為、社会にまで実態や問題点が届かない。

 

大貫さんのような活動がもっと広がり、せめて日本の性教育が国際基準にあわせることは必須なんだろうと思う。 

 

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