裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

知的障害者の性犯罪

先日、性犯罪被告が知的障害者について、以下のツイートをした。

 

twitter.com

 

日ごろから性犯罪全体については、いくら時代がかわったとしても、形や趣向がかわるだけで減少しないだろうし、さらに狙われるターゲットがより弱い立場の低年齢層になってきていると感じていた。

 

学校教育でなんとかなる問題でもなさそうだし何度も性犯罪を繰り返す被告に対しても、司法自体も根本的な解決に目をむけていないし、この対策については他の犯罪より難易度が高いのではないかと思う。

 

そう思っていたが、今回の知的障害がある被告の場合、学校で性行為についての正しい教育があればこの事件は起こらなかったと思えた。

 

実際、知的障害者の学校教育はどうなっているのか考えるきっかけをもらえたので、この機会に少し調べたところ、新潟県教育委員会の「性教育の手引き」という資料を読んでみた。 

 

<特別支援学校男子用個別指導用資料 性教育の手引き(新潟県教育委員会)> 

https://www.nipec.nein.ed.jp/sc/kenkou/seikyouiku/2007seikyouikunotebiki.pdf

 

特別支援学校男子用個別指導用資料として、性に対する行動で、人がいるところで自慰行為をしてしまうという項目のところに「マナーの約束、後始末の方法、冷静な対応」という内容があった。体の仕組みなどについての教育はあるけれど、性的な行動自体への正しい教育の機会というのがないと思われる。そりゃそうだと思うけれど、これについては、現状は父親が子に向き合って教育するというということになるのだろう。

 

性問題行動のある知的障害者のための本も出版されているようだったのでここに載せておく。 

性問題行動のある知的障害者のための16ステップ 「フットプリント」心理教育ワークブック [ クリシャン・ハンセン ]

価格:2,808円
(2019/3/8 00:50時点)
感想(3件)

 

 

 

 

 

 

 

なぜそんな事件を気軽に手伝ってしまうのか?

 
事件は単独の場合と、複数人で行う場合がある。
複数人で行う場合でも、それぞれの関係性が独立している場合もあるが、主犯格がいて他の共犯者を意のままに操るという場合もある。
 
多くの事件で主犯格になる被告人は特に、共犯者として片棒を担がせたり、被害を被らせるターゲットを選別する能力が異常に高いと感じるが、確実にその対象を選んでいるということに気付いた。その主犯格は、目の前にいる人誰でもよいから共犯者にしたり、ターゲットにしているわけではない。
 
その主犯格は粘着質で、口がうまくて暴力的で、一見人当たりがよかったりもする。評判としては面倒見が良かったりもする。
 
この面倒見がよいというのも少し曲者で、主犯格のよくあるパターンが、子供の頃から家庭に居場所がない少年達の居場所を作るのがうまい。そうなれば、なつく少年達が、恩を感じている主犯格に何か手伝うように言われたら、あまり疑問すら持たず、単に彼を喜ばせたいと思う感覚で凶悪な事件の片棒をかついでしまう・・・。
 
この構図は時々あるので、子供に家庭の居場所がないと感じさせることは他人を利用しようとする人に狙われる可能性が高くなるし「居場所」というのは人間にとって本当に大切なものなのだと、こういった事件を通し、考え直すきっかけとなる。 

前回の裁判に電車賃が用意出来なかった万引き犯(量刑記録)

【罪名】窃盗
【判決】懲役1年(執行猶予3年)

前科2犯、前回20万円罰金刑の女性。
スーパーで万引き。主人が情状証人。

ご主人の月収が22-23万ほど(被告人は無職)
生活費足りないと万引き。
対策として被告人自身もバイト見つけるとのことだが、今後収入少ないときはどうする?の質問については、「前借り、ネット後払いを利用する」の回答…。

スロット辞める意志なし。

誰もが動画を取れるようになったメリットとデメリット

最近ニュースでよく出てくるあおり運転の動画などを見て、今みんながスマホを持っているので、昔なら証拠が残らなかった事件も、このように動かぬ証拠として簡単に残すことが出来るようになってよかったと思う。

 

急にあおり運転する人が増えたとは考えにくいし、今まで顕在化していなかった問題がテクノロジーの進化により顕在化してきたと考えるのが自然だろう。

 

ただ、証拠を残すという同じ目的でも、犯罪者もそれをうまく利用している。特に性犯罪では、被害者の口封じのために録画したり写真を撮ったりしていることが頻繁にある。性犯罪がおきたその場の恐怖は言うまでもなく、残った画像の存在が被害者の恐怖と絶望を増幅させる。

 

そしてその口封じのために撮った画像が、被害者へ及ぼす影響について、いくら後から想像する時間があったとしても、理解している被告を今のところ見たことがない。

 

公判でのやりとり。

 検察官:「犯行のあと、被害者の写真を撮ったのはなぜ?」

 被告人:「まあ・・・なんとなく、記念撮影的というか・・・」

 

こんな調子で、画像を残した意図を正直に話す被告はあまりいないし、画像を被告ににぎられている恐怖について想像をしたことがまずない。

 

頭の良い人達がテクノロジーを進化させてくれ、私達はそのメリットを享受させてもらっている。ただ、その何倍なのか分からないけれど見えないところで悪事に利用されている。物事すべて陰陽、表裏一体。

 

 

まともな人間でいたいと思う欲望との戦い

傍聴している公判で、ある一定程度の割合で介護殺人事件に出くわす。

 

私が今まで傍聴した介護殺人では、比較的介護を初めて初期の段階で事件が起こっている。そして、その被告の周りには、介護に無関心な他の家族、見て見ぬふり、一人で頑張ってしまう被告、自分の範疇を超えて介護を頑張らなければならないという呪縛・・・、どの事件からもこの要素が浮き彫りになってきた。

 

介護にかかわらずだけれど、「〇〇でなければならない」という呪縛は、閾値を超えてしまうと、大変な事件になってしまうことがある。

この気持ちは自分の中の思いなのに、自分で自分を苦しめ、とりかえしがつかなくなってしまう。

なぜ、「〇〇でなければならない」と思ってしまうのか・・・。育ってきた環境や「世間」というよく分からないものからの圧力からそう思い込んでしまっているだけなのだとしたら、まずは自分が苦しんでいることを自覚する。

そして自分はどうこの状況を改善させることが出来るのか、そういうことを考えることができるかどうかが大きな分かれ目になってくる気がしている。

 

「自分が苦しい時、苦しめているのは『〇〇でなければならない』という自分の思いこみかもしれないと考えることが大切」

 

介護は、誰でもその状況に苦しむことはありえるので、こういった身近なテーマから起こる事件から学びをえることは多い。

 

 

今年初傍聴は空振り

今日、張り切って裁判所に行ったけれど、

刑事:午前1件、午後1件(判決)
民事:0件

だった。

家裁の開廷表に、午後3件(いずれも離婚)あったので、年明け早々離婚裁判の出廷大変だなぁと思いながら、待っていたが3件とも中止。

1件は原告代理人は来ていたけれど、被告が出廷せず。(病院の待合室のように「○○様~いらっしゃいませんかー?」と裁判官がロビーで呼び掛けるが誰もいない…)

他2件は、裁判官すら居なかったので、事前に中止が決まっていたのだろう。

今年初傍聴は肩透かしだったけれど、離婚裁判は今日もこういった形で、結婚→離婚で浮き彫りになる人間の怖さを教えてくれた。

今年も人間について学んでいきたい。

ストーカーや嫌がらせが愛知県迷惑行為防止条例として厳しく取り締まり出来るようになった

新年になり、ストーカーや嫌がらせに厳しく取り締まりが出来るよう、愛知県の条例が改正された。

愛知県警察/愛知県迷惑行為防止条例(平成31年1月1日施行)

 

条例をそのまま読んでも、やたら回りくどくて難しい言葉が並んでいるので(法曹界の方々、本当に尊敬します!)一つ一つ理解するのは難しいけれど、今回の改定でよりストーカーや盗撮に対して、より厳しくなった。私の理解では要点は以下の2点。

 

■「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が、「恋愛感情や好意」がある人がストーカーする想定で作られているけれど、つきまといや嫌がらせの動機は、好意だけではないので、「恋愛感情や好意以外の動機からのストーカー」も取り締まれれるようになった。

 

■改定前は、盗撮用のカメラ設置だけでは取り締まれなかったが、改定後は、カメラ設置だけでも取り締まれるようになった。また盗撮行為の場所についても改定前は「公衆の場所」だった為、誰でもいつでも利用する場所ではない為に公衆の場所とまでは言えず、取り締まるのが難しかった「学校・更衣室・タクシー・ホテルの部屋など」も対象となり、規制場所を拡大した。

 

いつも思うけれど、犯罪は法律のずいぶん先をいっているので、相当被害者が犠牲になってようやく法律が出来るという後追い。

ストーカーや、ご近所トラブルなど、迷惑行為は一般市民にとって一番身近で被害に遭うかもしれない犯罪だと思っている。

 

ストーカー相談を警察にしにいっても、なかなか取り合ってくれないという話もあるそうだが、今回の改定でストーカー対策用のブザーの貸し出しも出来るようになっているみたいなので、おそらく相談しやすくなるのではないかと思う。