裁判傍聴から人生を学ぶココロノトモのブログ

傍聴した裁判から学んだ事、考えた事をまとめています

「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」で性犯罪者の言い訳へのナゾが少し解けた

この本を読んで、日ごろ疑問に思っていた『性犯罪・性的いやがらせをする人の常套句「合意があった」の言葉の内心はどうなっているのか』という疑問が少しスッキリした。

 

「ずる 嘘とごまかしの行動経済学 ダン・アリエリー」という本。

ずる 嘘とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ文庫NF ハヤカワ・ノンフィクション文庫) [ ダン・アリエリー ]

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感想(1件)

実験を交えながらの一番しっくりした解説は、私達は「できるだけトクをしたい」という願望がある一方「よい人、正直で立派な人でいたい」という相反する願望が同時にあり、よい人でいたいという願望が異常に強いということだ。私達の行動はこの二つの相反する動機付けによってかりたてられている。

トクしながら自分を正直ですばらしい人間だと思い続けるには、自分をごまかすしかなく、その両者のバランスをとろうとする行為こそが自分を正当化するプロセスだという。

 

性犯罪で客観的にみてどう考えても合意があるはずないのに、「合意の上だった」などと平然と主張する被告がどういう思考回路なのかと不思議だったが、この本で「自分を正直ですばらしい人間と思い続けるための自分をごまかす力がおどろくほど強い」ことが分かり、日ごろの疑問が少し解明された。

 

通常(?)の犯罪、例えば傷害など、相手に傷をおわせてもよしとされるケースはないが、性行為自体そのものは、お互いが合意していればこれは犯罪ではない。

だから、性犯罪者は相手が合意していると自分をごまかし自分の内部のバランスをとるのだ。本気で相手が合意していると思っている被告も多いだろう。

 

性犯罪は、犯罪なのに自分の中ではつじつまをあわせてしまうことができるため、やってしまえばクロという他の犯罪とは異なる性質を持っているといえる。

 

 

 

 

 

「事件を起こした原因はストレスです」はウソではない

当たり前だが被告は、事件を起こしてしまった原因を自分なりに反省し次どうしたら事件を
起こさないかということを自分なりに考えなければならない。

裁判では、当然原因が何だったかと今後の再発防止をどうするかを被告人質問で説明を求められる。

まず、事件を起こしてしまった原因の多くが「ストレスです」という回答。特に性犯罪ではそれ以外の原因と証言していた被告がいたかどうか思い出せないくらい。

でも、「ストレスが原因」と回答しても裁判官をふくめ誰もそれでは納得してくれない。「ストレスは誰でもありますよね」「今後またストレスがたまったら
事件を起こしてしまうんですか?」と突っ込まれてしまうだけ。そこで苦し紛れに今後はストレスをためないようにしますなどと具体性を欠く答えを述べるにとどまってしまう。

被告がよく言っている「ストレスが原因」という説明は、誰も納得してくれないけれど、多くの被告が言っているので嘘ではないんだろうと思う。

この事実をもう少しかみ砕いて考えてみた。人はみな、社会生活を送るために、ある程度自分を抑えて生活している。素の自分があって、その上に社会生活を送るために装ったり隠したりするイメージ。「ストレスが原因」で事件を起こしてしまった被告達は、素の自分が弱かったり、自分勝手の度合いが他の人より強かったりで、社会生活を送るために装ったり隠したりするパワーが、一般人より必要なのではないかという仮説。

だからストレスで、装ったり隠したりするパワーが減ってしまうと弱くて自分勝手の度合が他の人より強い素の部分が出てきてしまうという図式。

「事件を起こした原因はストレスです」はウソではない。

ストレスは誰でもあるじゃないかと一蹴するのではなく、この図式を自分の生活に生かすと、付き合う人の素はどんな人なのか、無理に装ったり隠したりして
演じていないか、誰でも装ったり隠したりする部分はあるが、ストレスがかかりその制御が難しくなる状況で顔をのぞかせた「その人の素」はどんな人なのかというのをよく見極めながら人と接していくことが必要かと思う。

生まれ育った地元の交友関係の中でしか生きられない被告

友人と呼べる人がいるのだろうかとものすごく孤独な被告も多いなか、周りとの交友関係が強固な被告もいる。

 

よくあるパターンが小学校中学校の頃からの先輩後輩の関係が大人になってからもずっと続いている。もちろん、そのこと自体に問題があるわけではない。問題は、その狭い交友関係の中でしか生きられず、仕事も先輩に紹介された会社に就職していたり、仕事も私生活も遊びもすべてその中の世界しかない状態になってしまうことだ。

 

大人になれば、仕事や趣味、その他の活動など、生活の範囲や活動も広がっていき、そのコミュニティごとに会う人も変わるし、そこで成長もしていく。地元の狭い世界だけでは分からなかった世界を知り、考えも変わる。

 

地元は地元での交友関係を大事にし、その他にも世界を作っていく、そんなふうに成長していくことが出来ればよいのだが、裁判で気付いたことは、大人になっても小学校中学校の頃の交友関係のまま、その狭い世界でしか生きていない人達のこと。

 

その狭い世界の中だけで起こっていることや、その中で客観的に見ればおかしな出来事があったり、おかしなことを頼まれたりしても善悪の判断基準が狂い、悪い事と分かっていても先輩が言うなら従うという選択肢しかない被告を何度も見た。

 

私が法廷でよく見るのは、違法なことを頼まれてそのまま手伝ってしまった後輩の立場の人。 「違法なことと分かっていても頼まれたので」といとも簡単に、「違法」<「頼まれごと」の図式が成立してしまう。

 

これは、その先輩の違法な頼まれごとを受け入れないとその後輩は生きていかれないから。その先輩との狭い世界から距離を取ると他に生きていけるコミュニティがないのだ。

 

複数のコミュニティに所属していればこのようなことも避けられるが、そんな自分をしっかりと賢く立ち回れる人は、そもそも違法な頼まれごとはされない。

 

強固な人間関係があることはよいことだが、相手によってはそれを利用される場合がある。人間同士のつきあいの中で判断を間違わず、客観的な判断が出来るようにするには複数のコミュニティを持っておくことが大事そうだ。昔からの知った仲間だけのなれ合いはラクだけれど、そのラクさに甘んじない自分の人生への積極性が必要だと思う。

 

 

 

まつ毛パーマ液で思わぬ法律のいたちごっこを観測できた

私はまつ毛エクステンションあまり好きではないので、時々まつ毛パーマをかけている。

通っていたエステのまつ毛パーマ料金がここ1年くらいで3回も値上げしたので、「値上げしすぎ!もうセルフでやってみよう!」とセルフまつ毛パーマキットを通販で探してみた。

 

数年前に探してみた時はたくさん販売していたのに、楽天で見てみると、極端に取り扱い店が少なく、しかもまつ毛パーマキットなのに肝心の「まつ毛パーマ液は入っていません」の注意書き。

その店でまつ毛パーマ液だけ別売りなのか、探してみたけれどやはり売っていない。明らかに違和感がある販売方法・・・。

そこに何だか臭いを感じ、色々調べてみたところ、この記事にたどり着いた。

www.fnn.jp

 

医薬部外品に必要な国の許可を得ずに、パーマ液などを販売した容疑で販売者が2019年の6月24日に逮捕されたようだ。

 

以下の国民生活センターの発表は平成16年(2004年)だし、以前からまつ毛パーマ自体問題があることを指摘されていたが、今回の販売者逮捕で、いよいよまつ毛パーマを今まで通りのパーマ液の仕入れではできなくなり、別ルートでの仕入れ値も高騰、また何度も値上げすることでまつ毛パーマのメニュー自体をフェードアウトさせる作戦なのかも・・・という推測が出来た。

 

国民生活センター発表のまつ毛エクステ調査内容>

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20040903_1.pdf#search=%27%E5%8C%BB%E8%96%AC%E9%83%A8%E5%A4%96%E5%93%81+%E3%81%BE%E3%81%A4%E6%AF%9B%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%9E%E6%B6%B2%27

 

いずれにしても、度重なる値上げの真相が思わぬ形でおおかたの予想がついたのは、スッキリしてよかった。

 

でも、美容業界って闇が深いなぁと思ったのは、Amazonでは、「まつ毛エクステ用のまつ毛パーマです」とうたってまつ毛パーマ液を販売している店があったこと!

口コミで、あきらかに購入者は自まつ毛に使っているのも分かっているけど、販売者はあくまで「地まつ毛でなくエクステ用のまつ毛パーマ液です」とうたっているので言い逃れできるというテイ。

 

楽天では厳しく統制していて、Amazonではそのあたりが緩いのは簡単に推測できる。法律なんていたちごっこだよね、という例を思わぬ形で観測できた出来事だった。

知的障害がある実子に口腔性交させた父(量刑記録)

【罪名】準強制性交等

【判決】5年6月 未決拘留80日差引

 

被害者の女性は、元妻の子供で被告の養子。

被害者は20代だが知能としては9才程度の中度障害。

障害者雇用で働いていた会社に被告が、迎えに行くといい

その車の中で口腔性交させた。

被告は否認。終始首を横にふり不満な様子だった。

 

リベンジポルノといってもイメージと違った

リベンジポルノといったら、振られた腹いせで付き合っていた当時に撮影した裸の写真などをばらまくといったイメージがあったのだが、先日傍聴した裁判は、単にお金に困っていて、過去性行為をした女性の画像をTwitter上にあげてお金を作ろうとしたという単純な経緯だった。

しかも被告(男性)の顔はスタンプで隠し、被害女性の顔は分かる状態での動画。Twitterのスタンプは間抜けな感じなので、被害女性の怒りは倍増しただろう。

 

ちなみに法律は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」が適用される。罰則としては、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金。しかも冒頭陳述から、Twitterにあげられている動画を見つけたのは元彼女本人だった。どのような経緯で見つけたのかも気になるけれど公判で分かることはないだろう。

 

にしても、自分の性行為の動画がTwitterにアップされているのを見つけた元彼女さんには同情する。しかもこの法律の罰則、軽いと思う。動画販売でいくら稼いだか分からないけれど、設けた金額と罰則のバランスが悪いから抑止力としては弱いし、拡散されてしまった画像は完全に回収不可能だから被害の大きさが無尽蔵。

 

お金がらみの事件を見るたびに、お金がない状態は、犯罪の誘惑が思っている以上に大きいんだと痛感する。

海外の裁判傍聴 ベルギーブリュッセルの裁判所


海外旅行に行った時、なんとか現地の裁判傍聴が出来ないかと現地の人に聞いてみたりしているのだけれど、当たり前だけど普通裁判傍聴のことについて知らない、となり海外の裁判傍聴はなかなか実現しなかった。

そんな中、今回のヨーロッパ旅行で初海外裁判傍聴をすることができた! 

 

スペインのバルセロナは傍聴は出来なかったものの、裁判所の前にいる支援者に話を聞くことができ、ベルギーブリュッセルの裁判所では、法廷の中に入って実際の裁判を傍聴することができ、長年の念願がかなった。

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ブリュッセル裁判所

ベルギーブリュッセルの裁判所はトラムの停留所を降りてすぐだった。外側は足場が組んであり一部外壁工事中だったが、芸術作品と言える立派な建物。裁判所に特に興味が無い人でも建物だけでも見学してみる価値がある。

 

 

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ブリュッセル裁判所入口

とにかく建物が大きい、写真で人が写っているがこの大きさ、分かるだろうか。圧巻。

 

まだ、この段階では本当に傍聴できるのか分からない。入口に荷物検査する場所があったので、中に入れますかと聞いたら入れるようだったので荷物検査を受け建物に入ることが出来た。

 

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ブリュッセル裁判所ホール

ホールがすごい、海外の裁判所に入ることができた興奮とこの建物自体のすばらしさ両方に感激した。

 

 建物内には法廷がいくつもあり、入口には何曜日はどの裁判官が担当するかなどのスケジュールらしき表が掲示してあるのを見たり、廊下には法衣を着た人が歩いているのを見かけると「海外の裁判所に来た!」とそれだけでも感激していた。

ただ、実際に開廷している場面には遭遇できなかったのであきらめきれず、勇気を出して法衣を着ている優しそうな男性に聞いてみると、夏の期間は休暇時期なので裁判数は少ないとのこと。

結局この日は裁判傍聴することが出来なかったのだが、あきらめきれず別日に再訪問。

午前中から行ってみたらもしかしたら傍聴できるかもしれないという予測が当たり、念願の海外初裁判傍聴がかなった!

 

まず、日本との違いは、弁護士も裁判官も同じ法服を着ているということ。法も元では平等ということらしい。あと法服に黒いマフラーみたいなもの(日本で言うと女性が着るコスプレのサンタさんのマフラーの黒いバージョンみたいなイメージ💦)をつけている。

そして検察官と思われる人物はいなかった。裁判官と弁護士が直接話すスタイル。でも英語でもなく全く何を話しているかは分からず。

3件傍聴したけれど、そのうち2件は通訳人付き。

被告が付けられている手錠は手ぐつわみたいな形で、日本の手錠みたいに右手と左手の間がチェーンになっていないので、さらに自由がきかなくなっているのが結構衝撃だった。そのかわり被告が移動する際に日本では付ける腰縄はなし。

 

裁判の内容が分からなくても、海外で裁判傍聴出来たこと、雰囲気だけでも分かったこと、予想以上にベルギーの裁判所の建物自体が美しくて圧倒されたこと、とにかく一生の思い出になった。